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 違法ダウンロードの線引きはどこにあるのか──。文化庁は11月27日、漫画などのコンテンツを無許可で公開する海賊版サイト対策として、違法ダウンロードの線引きなどを議論する有識者による検討会の初会合を開いた。文化庁は今年3月までの法制化を目指していたが、専門家などからの強い反対論によって法案の提出を見送った経緯がある。検討会では、文化庁が規制対象を絞り込む新たな提案を示し、おおむね了承された。

 当初案から変更したのは3点だ。

(1)ダウンロード違法化に関する普及啓発や教育、適法サイトへのマーク付与などの規定を追加すること
(2)スクリーンショット(画面保存)の際に違法画像などが入り込むことを適法とすること
(3)数十ページからなる漫画の1コマなど「軽微なもの」のダウンロードを適法とすること

違法ダウンロードが社会問題化したきっかけの1つである「漫画村」(写真はイメージ、写真:スタジオキャスパー)

 特に、(2)と(3)の対象となる画像については、当初案で「規制対象が広すぎる」といった批判が上がっていた。文化庁が今年9月から10月までに実施したパブリックコメントでも、文化庁の当初案に対し「違法化の対象を絞り込むべきだ」との意見が285件寄せられており、「当初案のままでよい」(10件)、「違法化の対象を広げるべき」(9件)を大きく上回っていた。こうした意見に一定の配慮を示した格好だ。

 消費者にとって重要なのは、スクリーンショットに「写り込む」とはどんな状態を指すのか、「軽微なもの」とはどの程度の量を指すのかといった具体的な線引きだ。

 文化庁が検討会で示した主な事例の取り扱い例は、以下の表の通りだ。議論の参考として提出した表だが、検討会で文化庁案の大部分が了承されたため、この表が判断のベースとなる。表に基づき、担当部署である文化庁著作権課に線引きの曖昧な点を聞いた。

事例 適法・違法
(民事)
刑事罰
スクリーンショット 重要な情報(適法にアップロードされたもの)をスクリーンショットで保存しようとする際に、違法にアップロードされた画像が付随的に映り込む場合 適法
違法にアップロードされた画像自体をスクリーンショットで保存する場合 違法 適用可能性あり
(もともとが有償で提供されているコンテンツの画像を反復、継続してスクリーンショットで保存する場合)
分量 数十ページで構成される漫画の1〜数コマ、長文で構成される論文の数行など(軽微なもの)のダウンロード 適法
単行本や雑誌に含まれる漫画の1話の半分程度、1つの論文の半分程度など(軽微とは言えないもの)のダウンロード 違法 適用可能性あり
(もともとが有償で提供されているコンテンツの半分程度を反復、継続してダウンロードする場合)
単行本や雑誌に含まれる漫画の1話の全体または大部分、1つの論文の全体または大部分などのダウンロード 違法 適用可能性あり
(もともとが有償で提供されている単行本や雑誌に含まれる漫画などの全体または大部分を反復、継続してダウンロードする場合)
単行本や雑誌の全体または大部分のダウンロード 違法 適用可能性あり
(もともとが有償で提供されている単行本や雑誌の全体または大部分を反復、継続してダウンロード場合)
絵画や写真(1枚で作品全体となるもの)の画像のダウンロード 画像の大きさ・画質による(「軽微なもの」と認められれば適法) 適用可能性あり
(もともとが有償で提供されている絵画や写真などの画像(「軽微なもの」以外)を反復、継続してダウンロードする場合)
有償・無償 もともとが無償で提供されているコンテンツ(広告モデルを含む)が違法にアップロードされている場合のダウンロード 違法
もともとが有償で提供されているコンテンツが違法にアップロードされている場合のダウンロード 違法 適用可能性あり
(反復、継続してダウンロードする場合)
二次創作物 違法に作成された二次創作物を二次創作物を二次創作者自身がアップロードした場合のダウンロード 違法
違法に作成された二次創作物を二次創作物を第三者が無断でアップロードした場合のダウンロード 違法 適用可能性あり
(もともとが有償で提供されているコンテンツの二次創作物を反復、継続してダウンロードする場合)
常習性 単発的なダウンロード 違法
反復、継続するダウンロード 違法 適用可能性あり
(もともとが有償で提供されているコンテンツを反復、継続してダウンロードする場合)
文化庁が議論の参考として示した暫定的な事例の取り扱い。一部を編集部が文意を変えない範囲で編集した。赤字で示した部分が当初の文化庁案から見直した点

Q スクリーンショットでは「違法にアップロードされた画像が付随的に写り込む場合」は適法とする案を示した。「付随的」とはどんな状態か?

A 前提として、違法、適法の判断を文化庁が定量的に線引きするという方針は持っていない。これまでの違法ダウンロードの議論の過程において、多くの専門家などから「ユーザーの自由度を残すべきだ」という要望をいただいており、行政が「ここからここまでが適法」とすると、それ以外はすべて違法となる恐れがあるためだ。

 その前提のうえで、「付随的」というのはそのスクリーンショットに「メーンで写っていない」という意味だ。重要なので保存しようとしたものを「主」とすると、それに「従」の形で写り込んでしまったものは適法とした。「従」であるので、画像に写り込んでいる量も「軽微な構成部分」であることが求められる。量で半分を占めるようなものは厳しい判断になるだろう。

 意見として多かった「ツイッターのツイート部分を保存しようとしたら、違法にアップロードされたアイコンが写り込んでしまった」というのが「付随的」の典型例だ。