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 シャープの子会社であるAIoTクラウド(東京・江東)は11月28日、ビジネスチャットと音声・ビデオ会議機能を搭載した法人向けのコミュニケーションサービス「LINC Biz(リンクビズ)」を発表した。同日より機能が制限された無料プランの提供を開始、2020年1月から有料プランの展開を始める予定。「大企業というよりは従業員が300人未満の中小企業がターゲット。20年には1万社への導入を目指したい」。発表会で登壇したAIoTクラウドの赤羽良介社長はこう意気込んだ。

法人向けのコミュニケーションサービス「LINC Biz」を使ったビデオ会議のデモの様子

 AIoTクラウドは、シャープが成長戦略に掲げているAI(人工知能)とIoTを融合させた「AIoT」事業のソフトウエア基盤を手掛けていた部門が独立し、8月に設立された。ソフトウエア基盤の他社への提供や、基盤を生かした法人向けサービスを手掛ける。今回のLINC Bizは、第1弾のサービスとなる。

 ビジネスチャットは、米スラック・テクノロジーズの「スラック」や米マイクロソフトの「チームズ」などが先行しており、AIoTクラウドは後発での参入となる。ただ総務省が18年に公表した調査では、日本での普及率は「ビジネスチャット」が23.7%、「テレビ会議、ビデオ会議」が32.6%という。赤羽社長は「米国に比べてかなり低く、まだまだ伸びる市場だ」と強調する。

使い勝手と低料金で差異化

 巻き返しへ向けて、AIoTクラウドが先行する他社サービスとの差異化ポイントに掲げるのが使い勝手などの機能面と料金の安さだ。

「LINC Biz」のビジネスチャット画面

 機能面では、チャットでの議論から、ワンクリックでビデオ会議に移行できる機能を搭載。チャット上で共有した資料を、ビデオ会議上で共有しコメントなどを追記できる機能も備えた。「チャットとビデオ会議をシームレスにつなげるサービスはまだないと思う」と赤羽社長は話す。

 料金面では、1月から始める有料プランは1ユーザー当たり月350円とし、中小企業でも導入しやすいようにした。赤羽社長は「十分利益が取れる」と語る。

 販売戦略では、シャープグループとの連携も視野に入れる。「(東芝から買収したパソコン事業を手掛ける)ダイナブックと連携していくのが次のステップ。シャープの法人営業部隊を活用することもあり得る」と赤羽社長は話す。

 機能と料金の両面でビジネスチャット市場でのシェア拡大を狙うシャープ。ただ機能面では、スラックやチームズに対する明確な差を打ち出しているとは言い難い。マイクロソフトはクラウド上で「ワード」などの業務ソフトを使う「オフィス365」のサービスの1つとしてチームズを提供しており、対抗するにはさらなる機能強化も必要だ。AIoTクラウドもチャット機能と各企業のITシステムや外部のクラウドサービスを連携させることで「拡張機能を実現していく」(赤羽社長)方針を示している。

 シャープの戴正呉会長兼社長は成長領域に掲げるAIoTについて「BtoB(企業向けビジネス)に勝機がある」と語る。今回のLINC Bizは、成長戦略上も重要なサービスと言える。米IT大手など競合ひしめく「レッドオーシャン」で勝ち抜くには、機能拡張を含めて絶え間なく機能を進化させていくことが求められるのは間違いなさそうだ。

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