定食チェーンの「大戸屋」を運営する大戸屋ホールディングス(HD)は11月26日、東京都内で2019年4~9月期の決算説明会を開いた。連結売上高は前年同期比3.3%減の約123億円、営業利益は1億8700万円の赤字だった。

 大戸屋では2月に従業員による不適切動画の投稿が発覚。4月のメニュー改定で人気メニューの「大戸屋ランチ」を廃止したことも影響して、既存店売上高は2月以降9カ月連続で前年割れとなっている。消費増税があった10月の既存店売上高は前年同月比で11.8%減となり、回復のめどが立っていない。

 濵田寛明取締役管理本部長は「18年7月と19年4月のメニュー改定による値上げや不適切動画(の影響)で客数回復が遅れていることが業績悪化の最大の要因」と説明する。「これまでの成功体験は全く通用しなくなっている。社内では経営改革のグループを立ち上げており、改善に尽力したい」(濵田氏)

 だが、業績の悪化はメニュー改定や不適切動画問題だけが原因ではない。大戸屋の既存店売上高は16年3月期以降、年間で前の期を超えたことがない。売上高もここ5年ほど伸び悩んでいる。

 客数は下落している一方、客単価は伸びているが、これは値上げを繰り返してきた結果と言えそうだ。例えば、同店の定番メニューの1つ「しまほっけの炭火焼き定食」は13年夏まで810円だったが、現在では税込みで1060円だ。「さばの塩焼き定食」も同様に710円だったものが、現在では890円に値上がりしている。定食に付いている白米についてもコメ価格の上昇もあって17年に50グラム減らした。

 10年代前半まで定食の中心価格帯は700円前後だったが、現在では800円台後半から1000円前後のものが多い。定食チェーンの「やよい軒」が600円台から700円台のメニューを豊富にそろえているのと比べると割高感が否めない。

 今年4月には看板商品とも言える720円の「大戸屋ランチ」が原材料費の高騰などを理由に廃止された(10月に790円で復活)。これに対し、ネット上では「もう大戸屋に行く理由がなくなった」といった怒りの声があふれた。

 大戸屋は店内で調理したできたての料理を手ごろな価格で提供することで人気を集めた。特に店内調理は大戸屋にとって、調理専用の施設で料理を作るセントラルキッチン方式を採用する外食チェーンとの違いを打ち出せる強みだった。だが、近年は人件費の上昇などに伴って店内調理は販管費の増加につながり、値上げを余儀なくされてきた。

 大戸屋HDの窪田健一社長は「価格はこれ以上上げることはできない。今の売価でクオリティーの向上に注力する」と話す。濵田管理本部長は「消費者のニーズが多様化する中で『大戸屋ごはん処』という単独のブランドでは厳しいことは明らか。抜本的な改革が必要だ」と危機感を募らせる。

 10月には、外食大手のコロワイドが大戸屋HDの発行済み株式の18.67%を取得し、筆頭株主となった。株式を売却したのは、大戸屋HD創業者である故・三森久実氏の妻である三森三枝子氏と息子の智仁氏だ。

 15年の久実氏の死後、智仁氏の大戸屋HD内での処遇などを巡って、創業家の三枝子氏らと窪田社長ら経営陣は対立、16年には智仁氏が大戸屋HDの取締役を辞任した。今回の売却により、創業家と経営陣の対立は決着した形だ。

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