日本と韓国の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の失効がひとまず回避された。米国が韓国に協定維持を強く迫り、日本による輸出管理の厳格化措置の撤回を求めて協定の破棄を表明していた韓国政府が土壇場で方針を転換した。

 日韓両政府は12月下旬に中国で開く日中韓首脳会談に合わせ日韓首脳会談を行う見通しだ。ただ、最大の懸案である韓国人元徴用工訴訟問題の出口は見えず、今回の両政府の判断が日韓関係の好転につながっていくのかは予断を許さない。

11月4日、タイで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に出席した安倍晋三首相と韓国の文在寅大統領(写真:YONHAP NEWS/アフロ)
 

 GSOMIAは軍事上の機密情報を共有する際、第3国への漏洩を防ぐ取り決め。日本は韓国と朴槿恵(パク・クネ)前政権時代の2016年11月23日に署名し、1年ごとに自動更新してきた。だが、文在寅(ムン・ジェイン)政権は8月23日、日本が7月に韓国向けの輸出管理の厳格化に踏み切ったことに反発し、破棄を通告した。

 一方、日本は韓国の輸出管理体制に懸念があることなどを理由にまず7月に半導体製造に用いるフッ化水素など3品目の輸出について個別許可が必要になるよう厳格化した。8月末には第2弾として、軍事転用の恐れが低いとされる品目を自由に輸出できる優遇措置の対象となる「グループA(旧ホワイト国)」から韓国を除く政令も施行した。

 これに対し、韓国側は元徴用工問題などに対する経済的な報復だと反発。9月には日本の措置が世界貿易機関(WTO)協定に違反しているとして提訴した。

 韓国政府はこれまで、GSOMIA継続の条件として日本の輸出管理措置の撤回を求めていた。これに対し、日本は輸出管理の厳格化は韓国側の対応に問題があり、GSOMIAとは「全く次元の異なる問題」(菅義偉官房長官)として要求を受け入れない姿勢を貫いていた。

 それが23日午前0時の協定失効直前になって、韓国政府はGSOMIAの条件付き延長を日本に通告。WTOへの提訴手続きも中断し、両政府が輸出管理を巡る政策対話を再開することも決まった。

 急転直下の展開となった背景として、事情を知る日本政府関係者の多くが挙げるのが米国による文政権への圧力だ。

 米国は協定の失効が迫る11月になってエスパー国防長官など政府・軍幹部を相次いで韓国入りさせ、協定延長を求めた。「協定が失効して日韓対立が続けば、得をするのは中国と北朝鮮だ」(エスパー氏)と強調。在韓米軍の駐留経費を巡る交渉も材料に韓国に譲歩を迫った。

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