(写真:吉澤菜穂/アフロ)
(写真:吉澤菜穂/アフロ)
 

 小売業の各業界団体がまとめた10月の売り上げ速報が11月22日、出そろった。百貨店は前年同月比17.5%減(既存店ベース、日本百貨店協会調べ)と大幅に落ち込んだ。高額商品の駆け込み需要の反動減に加えて台風19号の影響があった。スーパーも同4.1%減(同、日本チェーンストア協会調べ)だった一方、コンビニエンスストアは同1.8%増(同、日本フランチャイズチェーン協会調べ)だった。増税の影響を受けた業界団体からは、軽減税率やキャッシュレス決済時のポイント付与など痛税感の緩和を狙った制度に対する恨み節も漏れる。

 全国百貨店の10月の全店売上高は3863億円。前年実績を下回ったのは3カ月ぶりだ。前月より休日は1日多かったが、増税に加え、台風19号に伴う臨時休業の影響が響いた。過去2回の消費税率アップの際は、減少幅は12~14%にとどまっていたが、今回はそれを上回った。日本百貨店協会の山崎茂樹専務理事は「台風の臨時休業が3~4%押し下げた」と分析する。

 一方、軽減税率は地下の食品売り場くらいしか対象にならず、「ほとんど百貨店に恩恵はなかった。(ほかの小売業態に比べて)不公平だと激しく言うつもりはないが、平等ではない」(山崎氏)。

記者会見する日本チェーンストア協会の井上淳専務理事(左)
記者会見する日本チェーンストア協会の井上淳専務理事(左)
 

 スーパーとコンビニの明暗を分けたのは、「キャッシュレス・ポイント還元の影響」(日本FC協会)だったようだ。

 スーパーの全店売上高は9751億円と、日数の少ない2月を除くと12年9月以来約7年ぶりに1兆円を下回った。部門別で見ると、衣料品が15.1%減(既存店ベース)、住宅関連品が7.2%減(同)と振るわなかった。軽減税率対象の食品も1.3%減(同)で日本チェーンストア協会の井上淳専務理事は「反動減の数字の表れ以上に消費者心理が冷え込んでいる」と警戒する。

 一方、コンビニは全店売上高が前年同月比2.7%増の9408億円と、全店・既存店ともに2カ月ぶりにプラスに転じた。14年4月の増税時は既存店ベースで2.2%減だった。前年同月はたばこ増税の反動減があったことに加え、今月から始まった「キャッシュレス・ポイント還元の影響で客単価が伸びた」(日本FC協会)。全店ベースの客単価は622.4円と、3.8%伸びた。

 国が10月に導入したキャッシュレス・ポイント還元制度は、中小企業であればフランチャイズチェーンでも売り上げの2%のポイントの原資を国が負担する。セブン-イレブン・ジャパンなど大手コンビニ3社は、FC店のポイント還元に合わせて直営店でも実質値引きをしており、その恩恵を受けた格好だ。

 これに対し、日本チェーンストア協会の井上氏は「政策によってコンビニに流れるという不公平な影響を否定できないとは思っているが、10月はまだ事業が始まったばかりなので動向を見ていく必要がある」とした上で、「いずれにしてもポイント還元の政策は公正な競争をゆがめる不公平な政策であるし、過度な価格引き下げ競争がデフレを招くという政策だ」と従来の主張を繰り返した。

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