花王とプリファード・ネットワークスは「皮脂RNAプロジェクト」として協業を進める
花王とプリファード・ネットワークスは「皮脂RNAプロジェクト」として協業を進める

 花王と人工知能(AI)開発スタートアップのプリファード・ネットワークス(東京・千代田)は11月20日、肌の状態を的確に分析する技術の実用化に共同で取り組むと発表した。花王が独自開発した皮脂による肌の分析技術と、プリファードの持つ深層学習技術を組み合わせ、それぞれの利用者の肌の状態にあったスキンケアのやり方を提案できるようにする。目指すのは「テーラーメード(個別)美容」の実現だ。

 「花王の片思いだった。プリファードが最強のパートナーになると信じている」。20日に開いた記者会見で、花王で研究開発や先端技術戦略を担当する長谷部佳宏専務執行役員は熱くこう語った。

 今回の協業では、花王が独自開発した肌の分析技術を活用する。ポイントとなるのは皮脂の中に含まれるRNA(リボ核酸)。ここから得られる情報を解析することで、一人ひとりの肌の状態を把握することができる。RNAは脂取り紙で採取した皮脂から取り出すことができ、体への負担が少ないことが大きな利点となる。

 花王はプリファードと組むことで、深層学習でRNAの発現データを解析し、肌や皮膚、体内の将来の状態を予測できるようにする。例えば、特定の遺伝子情報を持つ人は、Aという商品を使えば、肌をよくする効果が高いといった提案ができるようになる。2020年春には東京・銀座の店舗で、希望する顧客に、開発した技術を基にしたサービスの提供を始めたい考えだ。

 今回の提携は花王がプリファードに声をかけたことで実現したが、化学や生物分野の未解決領域に深層学習を応用して問題解決しようというプリファードにとっても魅力的な提案だったようだ。

 深層学習では大量のデータが必要になるが、これまではRNAの情報を得るのが簡単ではなかった。RNAを採取するには皮膚を切り取るなど体への負担が大きかったからだ。プリファードの岡野原大輔副社長は「花王が開発した解析技術は画期的。データドリブンで美容や医療、ヘルスケアの分野でのチャレンジを実現する上では、重要なブレークスルーになる」と期待を込める。

 その期待の大きさは、プリファードにとっては花王が“異例”の提携相手であることからもうかがえる。プリファードは各分野でのトップカンパニーと提携することが多い。その業界の情報や問題を深く知りながら、提携相手と一緒になって問題解決に取り組むことにこだわっているからだ。

 実際、プリファードはこれまでトヨタ自動車や日立製作所、ファナック、JXTGホールディングスなど、いずれも業界のトップクラスの企業と手を組んできた。今回、化粧品分野で資生堂の後を追う花王をパートナーに選んだのは、それだけ花王のRNAの分析技術を高く評価したということだろう。

 花王とプリファードでは美容領域に加えて、投薬の効果を予測したり、健康診断への応用など、医療分野での活用も目指す。パーキンソン病などの難治性疾患の早期診断技術の共同研究も予定しており、花王の澤田道隆社長は「プリファードとは長い付き合いになるだろう」と話している。

この記事はシリーズ「1分解説」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

12/15ウェビナー開催、「外食を救うのは誰か」第1回――すかいらーく創業者の横川氏が登壇

 新型コロナウイルスの感染拡大から3年目となり、外食店に客足が戻りつつあります。一方、大手チェーンが相次ぎ店舗閉鎖を決定するなど、外食産業の苦境に終わりは見えません。どうすれば活気を取り戻せるのか、幅広い取材を通じて課題を解剖したのが、書籍『外食を救うのは誰か』です。
 日経ビジネスLIVEでは書籍発行に連動したウェビナーシリーズを開催します。第1回目は12月15日(木)19:00~20:00、「『安売りが外食苦境の根源だ』ファミレスをつくった男が激白」がテーマです。講師として登壇するのは1970年にファミリーレストラン「すかいらーく」1号店を開業した横川竟氏と、外食経営雑誌『フードビズ』の神山泉主幹です。書籍を執筆した記者の鷲尾龍一がモデレーターとなり、視聴者の皆様からの質問もお受けします。ぜひ、議論にご参加ください。

■日程:12月15日(木)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「安売りが外食苦境の根源だ」ファミレスをつくった男が激白
■講師:横川竟氏(すかいらーく創業者、高倉町珈琲会長)、神山泉氏(外食経営雑誌『フードビズ』主幹)
■モデレーター:鷲尾龍一(日経ビジネス記者)
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。有料会員以外は3300円(税込み)となります。
※第2回は詳細が決まり次第ご案内します。

>>詳細・申し込みはリンク先の記事をご覧ください。