投資家は冷淡だった。11月19日の東京株式市場で、検索サービス「ヤフー」を展開するZホールディングス(ZHD)の株価が一時、前日比10%安と大幅に下落した。前日にLINEとの経営統合を発表し、「米中の巨大プラットフォーマーに続く第三極になりたい」とZHDの川邊健太郎社長CEO(最高経営責任者)が抱負を語ったにもかかわらずだ。

 株価下落の理由は大きく2つある。18日のLINEとの経営統合の発表で判明した株式の希薄化と、見えにくい統合後のシナジーだ。

 LINEとの統合に当たって、ZHDは新株を28億株発行する。現状の発行済み株式数は48億株で大幅に増加するため、6割近いダイリューション(1株利益の希薄化)が起きるのを嫌気した形だ。

 18日の記者会見は2時間に及んだが、シナジー効果が出るタイミングなどは明示されなかったため、不安視する投資家の売りも膨らんだようだ。

 もっとも、現時点では統合に向けた基本合意をした段階で、公正取引委員会など国内外の独禁当局の承認もこれからの状況だ。具体的なアクションをまだ語れない部分もある。

 SMBC日興証券の前田栄二氏は「ペイメント事業など、まずは重複する事業で膨らむ投資を統合でいかに削減できるか。その実行力をみたい」と指摘する。会見では、統合後もヤフーの「PayPay(ペイペイ)」とLINEが手掛ける「LINEペイ」を両方とも存続させる意向を示した。統合に向けて、開発投資をどう削減できるかが問われそうだ。

 両社は統合後にAI(人工知能)分野に1000億円規模の投資をして新規領域の事業を拡大すると表明。LINEの出澤剛社長CEO(最高経営責任者)は会見で「新たな組織で新たなサービスを作り出すことが重要」と語った。

 出澤社長は旧ライブドア出身。同社がLINEの前身である「NHN Japan」に子会社化されたのは2010年5月で、その翌年の11年6月にコミュニケーションアプリの「LINE」が誕生している。出澤氏は自身の経験を基に、統合は現状2社の単純合算ではなく、両社が抱える人材などの資産が生み出す新サービスなどに価値があるとの思いが強い。

 そんな出澤社長とタッグを組み、統合新会社を率いることになるZHDの川邊社長。投資家の冷めた見方には、常識にとらわれない新たなネットサービスで応えるしかない。

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