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 JR東日本は11月16日、1971年の西日暮里駅以来となる山手線の新駅で2020年春に開業予定の「高輪ゲートウェイ駅」(東京・港)を報道陣に公開した。巨大な吹き抜けが特徴の駅舎は9割ほどの工事を終えており、あとは内外装の仕上げや設備の整備などを残すのみだ。

 高輪ゲートウェイ駅は田町駅(同)と品川駅(同)の間に位置し、山手線のほかJR京浜東北線が乗り入れる。デザインを担当したのは新国立競技場の設計も手掛けた隈研吾氏だ。

 周囲の建物にさえぎられ、普段はなかなか全貌が見えにくい新駅だが、近くのビルの屋上から眺めると駅全体を覆う大きな白い屋根が目に留まる。この約4000m2の大屋根は折り紙をモチーフにしており、いくつもの「折り目」がつけられている。日光の反射率が高い素材を使用し、駅舎内の温度上昇を抑える仕組みにもなっているという。

「折り紙」をモチーフにした巨大な大屋根が目を引く高輪ゲートウェイ駅
駅舎の側面はガラス張りになっている

 敷地内の地下道を通り抜け、工事の作業員らが行き交う駅前から工事用の足場をたどって駅舎に入った。駅舎の内部から大屋根を見ると、今度は障子をイメージしているという大屋根の別の一面が現れた。天井は骨組みが桟(さん)、天板が和紙のようになっており、日光を浴びた天板からは光が透ける。駅舎の東西の側面はガラス張りで、工事現場越しに周辺の街並みを望むことができた。

「障子」をイメージした天井。ホームにはすでに駅名標も設置されていた

 新駅の大きな特徴の1つが、1階のホームから大屋根までの高さ30mの吹き抜けだ。改札ができる予定の2階から車両が行き交う線路を見下ろす形となっており、開放感がある。また、大屋根のデザインだけでなく、梁(はり)や柱の一部など、駅内の至るところに木材が使用されるなど和のテイストをちりばめている。コンコースやホームのタイルも木目調だ。

1階のホームから天井までが吹き抜けとなっている

 JR東が駅舎のデザインに力を入れたのは、新駅をこれから作り上げる街の顔にしたいという思いがあるからだ。同社は24年度をめどに新駅周辺を再開発し、複数のオフィスビルやコンベンションホールを建設する予定だ。羽田空港や27年にJR東海が開業を目指すリニア中央新幹線の始発駅となる品川からも近いため、新駅を都心への新たな玄関口と位置付けている。JR東の工事担当者は「(新駅は)これから『街開き』を迎える地域の最初の大事な施設。日本の新しい玄関口として世界中からいろんな人に来てほしいし、地域の人にも誇れる駅となってほしい」と話す。

 11月16日には、山手線と京浜東北線を新駅に通すための工事も行われた。16日の未明から田町─品川間の山手線内・外回りと京浜東北線大宮方面行の線路計3本を従来の位置から最大で約100m東側に移設した。1987年にJR東が発足して初めてとなる山手線の運転の見合わせを伴う工事で、約2000人の作業員が重機で古い枕木やレールを撤去したり、「山越機(やまこしき)」という特殊な器具で新たなレールを設置したりするなどの作業を行った。

品川駅周辺では重機を用いて線路の移設工事が行われた(写真下:JR東日本提供)

 線路の切替工事が終わった山手線は16日夕から、電車が新駅内を通過するようになった。開業に向けて大がかりな工事が進む高輪ゲートウェイ駅。駅名をめぐっては反対意見が出たが、JR東の狙い通り、訪日客だけでなく地域からも愛される駅になるだろうか。

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