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 酒類大手各社は11月13日、10月のビール類(ビール、発泡酒、第三のビール)の販売実績を発表した。10月1日の消費増税によって嗜好品であるビール類の需要がどの程度の影響を受けるのか、足元の消費の力強さを測る1つのバロメーターとして注目されていた。

 10月のビール類の販売数量は市場全体で前年同月比12%減となった。駆け込み需要で9月は同17%増。その反動が出たようだ。消費税率が5%から8%へと引き上げられた2014年4月には、前年同月比20%減に落ち込んだ。この時も、同年3月は駆け込み需要で17%増だった。

 14年3~4月の2カ月間の合計は前年同期比2%減だった。これに対し、今年の9~10月の合計は同2%増。同期間の平均最高気温が昨年より高かったことに加え、キャッシュレス決済のポイント還元策などもあり、前回の消費増税時に比べれば、市場全体で見ると需要の落ち込みは軽かったように見える。

 限定的ではあるものの、ビール需要を下支えしたもう1つの要因がラグビーのワールドカップ(W杯)だ。W杯のワールドワイドパートナーで、キリンビールが製造販売のライセンスを持つ「ハイネケン」の9月の国内販売量は前年同月比3.4倍という大幅増を記録。増税後の10月も同2.2倍と大きく伸びた。試合会場での販売や大会ロゴを使用した販促などが奏功し、少なくとも過去10年で最大の伸びとなった。

 キリンビールの9~10月のビール類の販売数量は、前年同期比で5%増。そのうちの1ポイント分が、ハイネケン効果だという。苦戦が続くアサヒビールの「スーパードライ」も「W杯の会場周辺で販売量を伸ばした」(塩澤賢一社長)という。スーパードライを拡販している欧州からの訪日客が購入したとみられる。

ラグビーワールドカップの開催で「ハイネケン」の販売量は記録的な伸びとなった

 とはいえ、小売店の店頭では数円の価格差で売れ行きが変わるビール類にとって、増税が痛手であることに変わりはない。その一方で、大幅に伸びたのが軽減税率の対象であるノンアルコールビールだ。

 軽減税率の対象であることが十分伝わらなかったためか、9月のノンアルコールビールの市場全体の販売数量は、前年同月比15%増という異常値となった。さらに、続く10月も同16%増と大きな伸びを示した。サントリーやキリンが、脂肪を減らす効果をうたう機能性表示食品のノンアルコールビールを市場投入。消費者の健康志向に訴え、売り上げを伸ばしている。

 健康ブームに加え、消費増税で「アルコール離れ」がさらに加速する可能性がある。酒類業界は需要喚起の知恵を求められそうだ。

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