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初めての決算発表に臨んだ49歳のスティーブン・マー次期CFO(最高財務責任者)

 日産自動車は11月12日、2019年4~9月期の連結決算を発表した。本業のもうけを示す営業利益は前年同期比85%減の316億円で、売上高営業利益率は0.6%と営業赤字スレスレの状態だ。同期間の世界での販売台数は主要全地域で減少した。カルロス・ゴーン元会長が逮捕された昨年11月19日からまもなく1年。9月の西川広人前社長兼CEO(最高経営責任者)の辞任後は経営の空白が続き、激変する自動車業界で取り残されている感さえある。

 日産の4~9月期の販売実績はまさにこの一年の騒動を反映している。市場全体の需要が14万台増えた日本国内で日産は4000台のマイナス。全需が4万台減とほぼ横ばいだった欧州でも販売を6万5000台落とした。いずれも年間販売60万台規模の重要市場だが、ゴーン事件で登場人物が多かった両地域でのイメージ悪化が否めないようだ。

 初めての決算発表に臨んだ49歳のスティーブン・マー次期CFO(最高財務責任者)は、奨励金が重かった米国市場で販売の健全化が進んでいることをアピールした。日産によると、19年7~9月期は米国の販売費用が前年同期より223億円改善。販売台数は減ったが、それを補って余りある上昇分を生み出したという。

 ただ、その米国で指摘された車両の不具合などの対処を日本でしていることもあり、7~9月期の日本の営業損益は268億円の赤字となった。マー次期CFOの「リカバリーは確実に進んでいる」という発言に偽りはないとしても、全世界で巡航速度に戻る見通しは、今のところ立っていない。

 この1年、自動車業界は激変の渦中にあった。国内ではスズキがトヨタ自動車と資本提携し、SUBARUもトヨタとの関係を強めた。市場環境が厳しい欧州が主戦場のFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)と仏PSAは経営統合で基本合意し、部品でもM&A(合併・買収)が相次いでいる。

 その間、日産は大株主の仏ルノーとの関係をこじらせた以外、多くの時間を社内の整理に使ってきた。西川前社長が報酬不正問題で9月に辞任して以降は、リーダーシップの所在も曖昧だ。13日の記者会見では、マーCFOが質問に対し「新たなCEOと経営体制が判断する」と回答を先送りする場面が目立った。

 20年3月期通期の業績予想も下方修正し、最終利益は1100億円と従来予想から600億円引き下げた。20年3月期上期の配当は10円と前年同期(28.5円)から大幅減。13日の株価は一時前日比で4.5%下落し、株式時価総額も3兆円を割った。内田誠次期社長ら新体制の船出は12月1日の予定だが、天候が荒波であるのは確かだ。

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