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 JFEホールディングスは12日、2020年3月期の連結事業利益(国際会計基準)が前期比74%減の600億円になりそうだと発表した。40%減の1400億円としていた従来予想を引き下げた。事業利益の下方修正は8月に続いて今期2度目で、減益幅がより拡大する。

 深刻なのは、主力の鉄鋼事業の不振だ。下方修正に際し、同事業の利益の通期見通しをゼロ(前期は1613億円)とした。日本鋼管と川崎製鉄の製鉄事業を統合して2003年にJFEスチールを設立して以来、連結の鉄鋼事業の利益がゼロになるのは初めて。177億円の黒字だった上期実績を考慮すると、下期の鉄鋼事業は赤字に転落することになる。

川崎市内のJFEスチールの製鉄所(写真:AP/アフロ)

 大幅な下方修正の原因は鉄鋼市況の悪化にある。米中貿易摩擦の影響で景気見通しの不透明感が強まり、設備投資を控える企業が増加。産業機械や工作機械での需要が減退している。さらに追い打ちをかけるのが、建設向け鋼材の需要の落ち込みだ。

 同日記者会見した寺畑雅史副社長は「8月に底打ちすると思ったが、それも見られない」と鋼材需要低迷の長期化に肩を落とした。

 鋼材需要の伸びをけん引してきた新興国も製造業が低迷。これまでJFEの収益を支えてきた海外の持ち分法適用会社の業績もさえない。一方で鉄鉱石など原材料価格や輸送コストは高騰して利幅が減少する負のスパイラルに陥っている。

 長期化しそうな「鉄冷え」に対して、JFEは生産計画を従来予想の2800万トンから2700万トンへ100万トン引き下げる生産調整を実施すると発表した。

 「緊縮財政」も強化する。2021年3月期を最終年とする現行の中期経営計画では総額1兆円の設備投資を予定していたが、1000億円圧縮。財務健全化のため、政策保有株式などの金融資産3750億円の約4割に当たる1500億円を現中計期間内で売却する方針も示した。

 急激な需要の冷え込みに対して、生産量の減少や投資の縮小など「攻めと守り」で手を打ったJFE。だが、世界の鋼材の半分を生産する中国は国内のインフラ投資強化に合わせて高水準の生産を続けている。ほぼ中国内での消費とされるが、過剰生産問題は解決の糸口がつかめていない。

 日本製鉄は今月1日に業績の下方修正とともに、国内製鉄所の組織再編を発表。今後の生産設備の統廃合に含みを持たせている。

 一方、JFEの寺畑副社長は生産体制の見直しについて問われ「現状は考えていない」と回答した。鉄冷えの長期化も想定される今、JFEにもより合理的な生産設備の適正化を求める声が高まる可能性がある。

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