Z会グループの栄光(東京・千代田)が2020年3月までに生徒一人ひとりに合わせてリアルタイムで教材を作る“AI(人工知能)先生”を本格採用する。どんな効果が見込めるのだろうか。

atama+を活用している授業風景(Z会東大個別指導教室プレアデスの教室)
 

 導入するのは、AIを使った教材を学習塾に提供するアタマプラス(東京・中央)の「atama+」。生徒一人ひとりに合った教材をリアルタイムで作成するのが特徴だ。栄光ではatama+を指導の中心に置いた教室を開校するほか、個別指導を行っている学習塾「栄光の個別ビザビ」の133教室で展開する。高校生コースでは数学、英語、物理、化学の各クラスで活用。中学生コースでも数学、英語で利用する。教材はアタマプラスが開発したものをそのまま使うが、先生の役割など、教室の運営方法については栄光独自のやり方にするという。

 学習塾業界では、生徒一人ひとりに合わせた「個別指導」が一つのトレンドになっている。生徒によって理解度や知識に差があるため、対応する講師の負担は大きい。生徒の弱点を自動で特定し、克服するための教材を作るatama+への期待は高い。すでに学習塾大手の駿台グループも20年からの本格導入を発表している。

 atama+の効果はどれほどのものか。駿台グループの教室で試したところ、偏差値の上昇幅がatama+を使った生徒の方が大きいことが確かめられたという。具体的には、通常学習にatama+を1カ月半併用した生徒は、併用しなかった生徒と比べると、高校2年生の1月に受けた模試の偏差値から、高校3年生の6月に受けた模試への偏差値の上昇幅が平均2.89ポイント高かった。アタマプラスの稲田大輔代表取締役は「atama+によって基礎的な知識の習得にかかる時間は半分以下になる」と話す。

教育業界にAIを持ち込む稲田大輔代表取締役

 アタマプラスは17年の創業。創業当初から、Z会グループが傘下のZ会エデュースが運営する「Z会東大個別指導教室プレアデス」でatama+の効果の実証に協力してきた経緯がある。Z会グループのほかにも、前述したように駿台グループでの採用も決まったatama+。来年度には“AI先生”から学ぶ生徒数が増えそうで、稲田氏も「教育業界が大きく変わる」と手応えを口にしている。

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