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 11月8日の東京株式市場では、メルカリ株が一時、制限値幅の下限(ストップ安水準)となる前日比500円(20%)安の2035円をつけた。2000円台をつけたのは今年1月以来で、東証マザーズ銘柄で値下がり率がトップとなった。要因は、浮上の兆しが見えない業績にある。

 同7日に発表した同社の2019年7~9月期の連結営業損失は70億円で、前年同期の同損失25億円から赤字幅が拡大。米国のメルカリ事業とスマートフォン(スマホ)決済サービスの「メルペイ」事業の投資がかさんだためだ。「今回の決算からは、株価上昇に向けた希望が見当たらなかった」と国内運用会社のファンドマネジャーは語る。

決算会見で説明するメルカリの長澤啓執行役員CFO(最高財務責任者)

 マイナスな点は大きく3つある。1つ目が、前述の赤字幅の拡大。2つ目に注力するメルペイ事業の収益化が見えづらい点が挙げられる。

 7~9月期の国内メルカリ事業の調整後営業利益は21億円と黒字だ。メルカリは内訳を開示しないが、米国事業とメルペイ事業で90億円近い事業損失を3カ月で計上したことになる。

 10月からの消費増税に伴って始まったポイント還元制度もあり、キャッシュレス決済が乱立。各社がユーザー獲得のために積極的なキャンペーンを張る混戦状態となっている。

 「100億円相当あげちゃうキャンペーン」などのど派手な戦略で先頭をひた走るのはソフトバンク系が手掛ける「PayPay(ペイペイ)」。5日にはソフトバンクの宮内謙社長が決算会見でペイペイについて「一人勝ちの状況」と胸を張った。

 後じんを拝すメルペイについて、メルカリの長澤啓執行役員CFO(最高財務責任者)は7日の記者会見で、「いずれ3つほどに淘汰されていく中で、確実に残っていきたい」と述べた。ただ、黒字化の時期など詳細に関しては言及を避けた。

 メルペイの強みは、月間1450万ユーザーが利用するフリマアプリとの連携だ。メルペイがきっかけでメルカリを使い始める利用者の増加や、メルペイで使える「後払い」サービスの利用者が一般のユーザーよりもメルカリでの購入額が約10%高いといった実績がある。だが、規模で勝るライバルをしのぐためには、より具体的なシナジーを結果として見せる必要があるだろう。

 3つ目のマイナスな点は、国内メルカリの流通総額の減少だ。7~9月期の流通総額は1268億円で、前年同期に比べると28%増と好調に見える。だが、前四半期(1292億円)に比べると2%減。しかも2四半期連続での減少だ。季節要因があり、夏場はフリマの主力アイテムである衣類などが冬物に比べて単価が安いという点も影響した。

 メルカリのIR資料を見ると、昨年までに流通総額が前四半期を下回ることはなかった。長澤氏は「従来は『購入』を促す策を強化していたが、『出品』を促すための策を拡充した」と説明したが、投資家は赤字幅の拡大とともに「本業」の成長鈍化も嫌気したようだ。

 競合のペイペイも10月から「PayPayフリマ」サービスを開始。フリマアプリとしてはメルカリが一強で市場をけん引するが、累計登録者1900万人を超えて囲い込みを進めるペイペイが新規参入する意味合いは大きい。

 虎の子の国内メルカリ事業の利益を拡大させるか、赤字が続く米国事業やメルペイ事業の出血を減らすか。市場の信頼を取り戻すためには、いずれかをきちんと示す必要がありそうだ。

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