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 ルネサスエレクトロニクスは11月7日、新しい中期経営計画を2020年2月に発表すると明らかにした。19年第3四半期の決算を説明する電話会議で柴田英利社長兼CEO(最高経営責任者)が述べた。当初は19年春に発表する予定だったが、米中摩擦などで経営環境が不透明なことを理由に先延ばしになっていた。

ルネサスエレクトロニクスはほぼ1年遅れで新しい中期経営計画を発表することになる

 ルネサスは19年3月に米半導体メーカーのインテグレーテッド・デバイス・テクノロジー(IDT)の買収を完了した。通信やセンサーなどのアナログ半導体に強いIDTは、18年3月期の売上高が日本円で900億円強だった。買収に約63億ドル(約6800億円)を投じたルネサスは、「買収完了後に中期計画を更新・公表する」(ルネサス)はずだった。

 ところが5月に開いた決算会見で柴田現社長(当時は取締役執行役員常務兼CFO)が「中期計画の更新にはもう少し時間をいただきたい」と延期を表明した。米中摩擦などの影響で不透明な状況から抜け出したら更新したいと述べ、「年内いっぱいぐらいに話ができたらと思っている」とした。

 積極的なM&A(合併・買収)に打って出たものの業績が低迷したことで前社長の呉文精氏が辞任に追い込まれ、7月1日付で柴田氏が社長兼CEOに就任するなど経営の混乱もあった。8月の決算会見で柴田社長は中期計画について「鋭意準備中だ。今年中にお伝えしたいが、来年春まで公表しない可能性もある」とし、さらなる先延ばしを示唆していた。

 11月7日の決算会見で2月に中期計画を公表すると述べた柴田社長は、現在の検討状況について言及した。「今までと大きく方針を転換するのではなく、今まで実態としてできていなかったところを改めて実行していく」と述べた。販路の見直しでより多くの顧客に広げるとともに、製品の組み合わせによるソリューション化で既存顧客により多くの製品を買ってもらうのが基本戦略になるとした。

 3年前の16年11月に示した「中期成長戦略」でルネサスは、注力分野の市場成長率に対して2倍の成長率を達成すること、売上高営業利益率(Non-GAAPベース)で20%以上にすることなどを目標として掲げた。ところが産業分野の売り上げ減や自動車分野の利益率低下などの影響で、目標からはかけ離れた実績が続く。

 7日に発表した19年1~9月期決算(国際会計基準)は、売上に当たる売上収益が前年同期比7.5%減の5262億円、営業損益が42億円の赤字(前年同期は692億円の黒字)だった。最終損益は74億円の赤字(前年同期は619億円の黒字)だった。第2四半期からIDTを連結したにもかかわらず売上高は前年同期を下回っている。

 柴田社長は7日の会見で「市場は相当な不透明感があり、楽観的な見通しを持てる状況ではない」と話した。地政学的なリスクで経営環境が不透明になることは今後もあるだろう。不透明なのは程度の差こそあれ、どの会社も同じだ。具体的で納得感がある成長戦略を打ち出せるか。ほぼ1年遅れで出す中期計画には社内外から期待の目が注がれている。

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