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 ディー・エヌ・エー(DeNA)が主力のゲームに続く事業の柱の育成に苦しんでいる。

 11月6日に発表した2019年4~9月期の連結営業利益(国際会計基準)は前年同期比53%減の50億円と大幅な減益となった。主力のゲーム事業では既存タイトルの販売が伸び悩み、8月に配信を始めた「ポケモンマスターズ」は配信開始から4日で全世界で1000万ダウンロードを突破したものの不具合が多発。改修費用もかさんで利益を圧迫した。7~9月期のゲーム事業の営業利益は35億円で、前年同期比26%減とさえない。同7日に同社株は一時前日比6%安となった。

11月6日、19年4~9月期決算を説明する守安功社長

 20年度までに、主力のゲーム事業の強化に加え、それに匹敵するような新たな柱の礎を築く――。17年7月の事業説明会で、DeNAは中長期的な戦略を示した。新たな柱として注力するのがオートモーティブ事業だ。タクシー配車アプリ「MOV(モブ)」を展開するものの、投資がかさんで4~9月期の事業損失は31億円(前年同期は14億円の赤字)と赤字幅が拡大した。

 「競合との競争が激化しており、先行投資を増やしている」と守安功社長兼CEO(最高経営責任者)は説明したが、会見に参加したアナリストからは「主力のゲーム事業の利益が上がらない中でいつまで現状の投資を続けるのか。撤退する考えはあるのか」と厳しい質問が投げかけられた。守安社長は「読み違えたところはある」と語り、事業の進捗の悪さを認めた。もう一つの注力事業のヘルスケア事業も赤字幅が拡大しており、収益への貢献には時間がかかりそうだ。

 次なる柱の構築は喫緊の課題だ。17年3月期は通期で283億円あったゲーム事業の利益は18年3月期に251億円、19年3月期は183億円と年々減りつつある。今期は上期を終えた段階で68億円と前年同期からさらに3割減る苦境ぶり。このままでは再投資の源泉も枯渇しかねない。

 ゲーム市場では「黒船」の襲来もある。今月19日には米グーグルがクラウドゲーム向けの新たなプラットフォーム「Stadia(スタディア)」のサービスを開始する。

 当初は日本を含まない欧米を中心とした14カ国での展開となるが、月額約10ドルの定額制サービスなどを提供。すでにゲーム会社のスクウェア・エニックスやカプコン、バンダイナムコエンターテインメントなどが参画を表明している。

 守安社長は「注視しているが、まずはPCやゲーム専用機メーカーによるタイトルが中心」としてスマートフォン向けゲームアプリへの影響は限定的との見方を示す。だが、巨大なプラットフォーマーの出現は、既存のゲーム事業の概念を大きく覆す可能性がある。

 ゲーム事業に匹敵する新たな柱の礎を築くとした「約束」の期限まであと1年半。グーグルの参入でゲームビジネスの環境が急変する可能性がある今、DeNAに残された時間は決して多くはない。

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