ボルボ・カー・ジャパンは6日、8年ぶりに全面改良したミッドサイズセダン「S60」の発売に合わせて、サブスクリプション(サブスク=定額制)型サービス「スマボ」の新プランを発表した。頭金やボーナス払いなしで、税金やメンテナンス費も含めた定額払いで新車に乗ることができるサービスだ。

 例えば、「3/5」と呼ばれる5年契約のプランでは、小売価格489万円のS60を月7万3810円(消費税込み)で乗ることができる。

 契約後、3年間が経過した後には別の新車に乗り換えることも可能。木村隆之社長は「ボルボのユーザーの中には、最新の安全技術を搭載した新モデルに乗り続けたいというニーズが一定層ある」とし、今後は年間2万台の販売目標のうち10%をスマボでの販売にしたい考えだ。

 「車のサブスク」は、トヨタ自動車が7月から「KINTO(キント)」で同様のサービスを開始している。ボルボは2017年には日本市場でいち早くスマボを導入。ただ、日本ではクルマのサブスクという選択肢はまだまだ一般的とは言い難い。

 「次も必ずボルボの新車に乗り換えると決めている人にとっては、必ずお得になる」と木村社長が力を込めるスマボ。年間およそ2000台のサブスクユーザーを獲得するという勝算は、ここ数年での指名買い比率の高まりにあるという。同社によると、新車購入者のうち「ボルボからボルボへの乗り換え」という指名買いをするユーザーは、13年の25%から19年では40%に伸びた。このうち4人に1人がスマボを利用すれば、目標の10%に届く計算だ。

 ボルボがスマボに力を入れるのには、別の理由もある。スマボは、ユーザーが車を購入するのではなく、あくまでも一時的に借り受けるというもの。3年から5年経てば必ず車が返却されるため、ディーラーにとっても安定して中古車を手に入れることができる。

 XC40やXC60というスマッシュヒットは出たが、今後は新モデルの予定がなく一旦新車販売が落ち着きそうな同社。アフターマーケットや認定中古車はディーラーにとっても安定したビジネスであり、その中でも中古車がどれくらい出てくるのか目途が付くことで、市場をコントロールしやすくなる。さらに、価格のこなれた中古車は、ボルボのようなプレミアムカーに初めて乗る人の入り口にもなる。人気車種の球数を増やし、ボルボのオーナーを広げたいとの考えだ。

 車を所有する「資産」だと考える人にとっては、まだまだ車のサブスクは受け入れにくいかもしれない。ただ、ボルボの新車に乗り続けたいコアなユーザーにとっては、払う価値のあるサービスにもなり得る。新車を心待ちにするファンを、どれだけ獲得し続けられるか。この新しいサブスクモデルの成功には、古典的なファンづくりの力が試されている。

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