事業の順調な立ち上がりに自信を示すドットデータCEOの藤巻遼平氏(右から2番目)
事業の順調な立ち上がりに自信を示すドットデータCEOの藤巻遼平氏(右から2番目)
    

 データ分析の自動化領域で、大きな変革が起きようとしている。仕掛けているのは、2018年4月にNECから事業分離(カーブアウト)して創業されたAI(人工知能)スタートアップの米ドットデータ(dotData)。同社はビッグデータの中から潜在顧客を割り出したり、生産計画を立案したりする予測モデルを自動で設計する技術に強みを持つ。

 そのドットデータが10月31日、ベンチャーキャピタルのジャフコ(東京・港)と米投資銀行大手ゴールドマン・サックスから合わせて2300万ドル(約25億円)の資金を調達したと発表した。これで累計の資金調達額は4300万ドルとなり、NECの出資比率は50%を切った。

 評価されているのはその成長性だろう。「2019年1月から9月までの9カ月間で事業規模は300%以上になった」とドットデータの藤巻遼平CEO(最高経営責任者)は振り返る。現在の社員数は約60人。そのうち開発に取り組んでいるエンジニアが7割を占める。

 データ分析の自動化領域では、米H2Oや米データロボットなどの競合企業が存在するが、ドットデータが競合を圧倒するのが、データ分析の前工程にあたる「特徴量」の設計工程だ。特徴量とは、例えば、ウェブサイトで米国のハワイ行きの航空券を購入する顧客は、日ごろ、どんな行動をしているか、といった特徴を指す。

 ドットデータはこれを自動で抽出する。これまで、データ分析の作業工程では、この特徴量の設計に多くの時間を費やしていた。数カ月かかることも珍しくないが、ドットデータのソリューションを使うと、データサイエンティストのような高いスキルを持たない人でも、1日で自動抽出できる。そのうえで、予測モデルも自動的に作り出す。

 ドットデータの特徴量自動設計ソリューションは当初は銀行や保険業界からのニーズが高かったが、最近では通信、流通、航空、自動車、サービスなど、顧客は9業種に拡大。国内が先行しており、顧客数は30社以上に上る。今回の資金調達によって特徴量自動設計ソリューションを機能強化し、さらに営業力アップで顧客数を拡大していく。とりわけ北米市場の開拓に力を入れていくために、米国でエンジニアはもとより、セールスやマーケティングの人材を増やして、1~2年で新たに数十社の顧客を獲得する考えだ。

 藤巻氏は「北米では、銀行や保険などの金融機関をはじめ、様々な業種から高い評価を受けている。数カ月かかっていた特徴量の自動設計が1日で済むというスピードに加えて、希少なデータサインティストでなくてもできるようになったことに注目してもらっている」と話す。

 藤巻氏がこのソリューションの事業化を考案したのは、NEC在籍時代だ。同社で史上最年少の33歳で研究員の最高位に就くなど、データサイエンスの分野で突出した能力を持っていたが、藤巻氏は大企業の中にいては、この技術を製品化することは難しいと考えていた。そうして36歳のときにカーブアウトの形でドットデータを創業した。

 「特徴量の自動設計についても、今はドットデータがリードしていても、いずれ競合がキャッチアップしてくる。新たな重要な新技術を考えており、開発を始めている」と話す藤巻氏。NEC発のスタートアップの挑戦は新たな段階を迎えようとしている。

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