日立製作所は10月30日、自動車部品事業を手掛ける完全子会社をホンダ系の自動車部品メーカー3社と統合させると発表した。自動運転や電動化といった技術革新の波が自動車業界に押し寄せる中、生き残りをかけた一手となる。他の日立系子会社にとっても人ごとではない。日立本体からの再編圧力が強まるかもしれないからだ。

日立製作所の子会社再編が加速しそうだ(写真:AFP/アフロ)
日立製作所の子会社再編が加速しそうだ(写真:AFP/アフロ)

 運転支援の制御ユニットやモーターなどを手掛ける日立オートモティブシステムズが、ホンダ系で電装部品やエンジン部品のケーヒン、足回り部品のショーワ、ブレーキ部品の日信工業と統合する。新会社には日立製作所が66.6%を出資、残り33.4%をホンダが出す。4社の19年3月期の売上高を合算すると1兆8000億円規模となり、国内ではトヨタ自動車系のデンソーやアイシン精機に次ぐ規模となる。

 日立はこれまでも自動車部品事業の再編を進めてきた。18年12月には車載用リチウムイオン電池を手掛ける完全子会社、日立ビークルエナジーの株式を官民ファンドのINCJとマクセルホールディングスに売却。それに先立つ同年10月にはカーナビなどを手掛けていた上場子会社クラリオンを仏自動車部品フォルシアに売却することを決めた。そして、今回、車部品事業のいわば中核を担う日立オートモティブシステムズの再編に踏み切った。

 22年3月期に全社の調整後営業利益率を10%超にする目標を掲げる日立は、データを価値に変えるデジタル事業「ルマーダ」を全社の中核に据えている。事業選別のポイントは、ルマーダとの相乗効果が得られ、営業利益率10%を達成できるか否か。日立オートモティブシステムズの連結営業利益率は19年3月期に3.9%で、しかも、ここ数年はじりじりと収益力が落ちていた。

 車部品子会社の再編は、他の上場子会社にとって人ごとではない。

 積極投資が裏目に出た日立金属は10月29日に2度目の下方修正を発表。磁性材料事業で425億円の減損損失を計上し、20年3月期は470億円の最終赤字になるとした。日立化成も同28日に20年3月期の営業利益見通しを下方修正した。日立が同30日に発表した19年4~9月期決算(国際会計基準)は連結営業利益が前年同期比14%減。本体の主要5部門は増益を確保したが、日立金属など上場4子会社の不振が響いた。

 グローバルに戦っていくには利益率10%の達成が欠かせないと見る日立。今後、上場子会社に対して、生き残りに向けた施策を強く求める局面が出てくるかもしれない。

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