「青のり」復活は1年後が目標

 スジアオノリの収穫量の低迷が続く中で、伝統的な「青のり」の復活に向けて三島食品も動き始めている。同社では15年から、高知県室戸市でスジアオノリの養殖を行ってきたが、今年6月には広島県福山市でも新たな養殖施設を稼働。順調に養殖ができれば、これまで同社が扱ってきたスジアオノリと同等の年間20トン以上を賄うことができるようになるという。

2020年6月に稼働を始めた広島県福山市のスジアオノリの養殖場
2020年6月に稼働を始めた広島県福山市のスジアオノリの養殖場

 すでに福山市の養殖場では収穫が始まっている。気温が高い中では「青のり」として売り出す品質には達していない部分もあったが、気温の低下とともに徐々に品質も上がってきた。また、従来のように各地から調達するスジアオノリも収穫期を間もなく迎えることで、一定量の確保が可能となる見込みだ。

 だが、間もなくなじみ深い「青のり」が帰ってくるのかというと、そうでもないらしい。「採れた分をそのまま商品として出して、すぐ欠品となってしまってはいけない」と広報担当者。スジアオノリを潤沢に確保したうえで販売を再開する考えで「現時点では1年後をイメージしている」と説明する。

 パッケージやブランドを変えずに原料を切り替えるという選択肢もあったかもしれないが、三島食品は選ばなかった。こっそりと内容量を減らしたり安価な原料に切り替えたりといった「サイレント値上げ」が散見される食品業界にあって、その正直な姿勢は消費者の目に鮮やかに映ったのだろう。品質へのこだわりを消費者に印象付けるという効果もあったはずだ。「アオノリを食べる日本の文化をなくしてはいけない」。伝統的な「青のり」が店頭に並ぶにはまだしばらく時間がかかりそうだが、正直と愚直の中にもマーケティングの巧みを感じさせる打ち手だった。

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