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(写真:AFP/アフロ)

 いよいよ決勝戦の対戦カードが決まり、大詰めを迎えるラグビーワールドカップ。今回大会の経済効果は4300億円とも言われ、全国的に盛り上がりをみせている。決勝戦は11月2日。前回大会の決勝戦は全世界で約1億2000万人が視聴したという。ところが、死闘を勝ち抜き、優勝したチームに与えられる賞金は、なんと0円だ。

 1987年の第1回大会開催時から賞金制度はなく、優勝チームには「ウェブ・エリス・カップ」と呼ばれるトロフィーが贈られるのみ。長年貫いてきたアマチュアリズムの名残で、第9回目となる今回も「賞金制度を設けるという議論はもちろんなかった」(ラグビーワールドカップ2019組織委員会)という。

 「お金のために試合をするのではない」と言えばきれいにも聞こえるが、稼げる選手が増えれば、海外の有力な選手やトップレベルの選手たちに憧れる子供たちを日本のラグビー界に引き込めるはず。

 日本ラグビーフットボール協会も、1日約1万円の日当のほか、独自に報奨金を用意。ベスト4進出で300万円、ベスト8進出で100万円を設定した。今回大会では活躍も加味し「増額も検討している」(日本ラグビーフットボール協会)と言うが、どれだけ盛り上がろうともW杯による協会の直接収益は「ゼロ」。スポンサーからの協賛費や国内トップリーグのチケット収入に支えられているという運営費からの捻出にも限界がある。

 陸上界では、大会の賞金「ゼロ」を問題視する選手も現れている。9月に行われたマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)は、東京オリンピックの代表選考競技会も兼ねていたことから国内のトップランナーが集結。ただ、同大会では賞金制度はなかった。3位に入賞した大迫傑選手は、自身のツイッターで「選手は名誉の為だけに走っているのではない」と主張し、「陸上選手がかっこよく見え、稼げる仕事にしたい」という思いから、自らが大会を主催する意思を明らかにしている。

 一方、優勝賞金が桁違いなのがサッカー。2018年のロシアW杯では、優勝賞金は3800万ドル(約41億円)。賞金総額は4億ドル(約430億円)に上った。国際サッカー連盟(FIFA)によるとロシア大会は世界人口の過半数に近い35億7200万人が試合を視聴したといい、莫大な放映権料収入やスポンサーからの協賛費が巨額の賞金を支えている。競技人口も多く、世界中にプロリーグが存在しているなど、まさに「稼げるスポーツ」の代表格だ。

 ラグビーも陸上も、企業に属しながら選手として活動する「社会人選手」が多いため、他のプロスポーツのように稼ぐ仕組みが整いにくいという課題がある。ただ、東京マラソンのように、大会に人気が出てスポンサーが多く付けば賞金として選手に還元する流れをつくることも可能だ。一時的な注目に終わらず、競技全体の底上げを図るには、人気づくりだけでなく選手を支えるお金づくりの仕組みも必要だ。

 
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