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 日本のかつての五輪選手を見ても、気温が20度を超えるあたりから大きくタイムが落ちるという研究結果もあるという。

 鍋倉教授は「猛暑の東京でマラソンが行われた場合、『ちゃんとしたマラソン』でなくなる可能性がある」と指摘する。実際、気温32度超のドーハで開かれた9月の世界選手権の女子マラソンは出場選手の4割が途中棄権する過酷なレースだった。

 さらにケニアやエチオピアの強豪選手が猛暑を敬遠して出場を取りやめれば、なおさら盛り上がりに欠けてしまう可能性もあるとして、「ボランティアの招集やコース整備を理由に東京以外の地域での開催に不安があるなら、1周5キロ程度の周回コースにしてもいいだろう」と語る。

 9月に開かれたマラソングランドチャンピオンシップを通じた、東京五輪の選手選考では「暑さへの強さ」が重視された。

 しかし、冒頭の研究結果を基に鍋倉教授はこんな希望も語る。2018年12月の福岡国際マラソンで優勝した服部勇馬選手のタイムは2時間7分27秒。この日のスタート時の気温は20.2度と暑い日だった。

 この記録を基に、比較的近い「プラス15度の場合には3.29%のスピードロスとなる」という研究結果を参考にして、最も記録の出やすい気温(3.81度)であったと仮定して計算すれば、計算上は「2時間3分23秒」。2019年のこれまでの世界での記録で見れば6位(2018年なら2位)となる。

 東京五輪のマラソンが札幌開催となったとしても、気温が20度程度であるなら、世界記録が出るようなスピードレースになることは想像しにくい。特別な暑さへの強さを発揮しなくても、実力的にもメダル・入賞は狙えるのかもしれない。

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