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 強い毒性を持つ南米原産の特定外来生物のヒアリが、東京湾・青海ふ頭で発見された。50匹以上の女王アリが確認され、「定着」の恐れがあるとして、政府は徹底した調査と確実な防除を強化する緊急の対応策をまとめた。海外からヒトやモノが運ばれるのが当たり前になった今、「外来種大国・日本」として、専門家だけでなく、国民も正確な知識や対応策を得る必要性が高まっている。

 「これまでと次元の異なる事態だ」。政府が10月21日に開いた関係閣僚会議で、菅官房長官が危機感をあらわにした。

 事の発端は、東京湾で大量に見つかった羽を持つ女王アリだ。環境省が9月に実施した全国港湾調査で、港で積み荷となるコンテナが行き交う「コンテナヤード」で女王アリ1匹などを確認。10月の調査で、巣と、働きアリ約750匹、女王アリ50匹以上を見つけたという。

今回確認されたヒアリ。10月11日撮影(写真提供/環境省)
今回確認されたヒアリの女王アリ。10月9日撮影(写真提供/一般財団法人 自然環境研究センター)

 2017年6月に初めて国内でヒアリの確認が発表されて以来、10月10日までに45の事例が報告されている。これまでは地面の巣から見つかった女王アリは多くとも2匹にとどまっていたが、今回、50匹以上となったことで、「定着」の危険性が強く懸念されることとなった。

 女王アリの羽は交尾後に落ちる。今回は羽を持った女王アリが大量に見つかり、飛び立って別の地域に広がった可能性が高い。ある巣で育った女王アリが移動して巣を作り、その巣で新たな女王アリが生まれて巣を作ることで、アリは世代を重ねる。世代の更新をもって、「定着」したとみなされる。

 ヒアリは2.5~8mmと小さな赤茶色の体を持つのが特徴だ。攻撃性が高く、刺されると熱いような激しい痛みが出てくる。ヒアリの毒にアレルギー体質を持った人の場合、じんましんが出たり、体調不良が起きたりする。アレルギーがひどい場合には、ハチに刺されたときと同様に「アナフィラキシーショック」で生命を落とす危険がある。