ラグビーワールドカップ(W杯)が大きな盛り上がりを見せ、テレビの視聴率や関連グッズの売り上げも「快進撃」が続いている。この盛り上がりを持続させるには、ラグビーというスポーツをビジネスとして稼げるものにするという視点が欠かせない。

 「日本ラグビー、プロ化に必要な『ローカル』と『グローバル』」で触れた通り、日本の最高峰リーグであるトップリーグは社会人リーグだ。企業に依存し、赤字体質を抜け出せていない。トップリーグ関係者は「収益を上げるという発想がない。チケットを売っても各チームの売り上げにならない今の構造はすぐにでも変えるべきだ」と打ち明ける。

(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 W杯の成功をどう今後につなげるのか。日経ビジネスはトップリーグにチームを持つ16社に対し、「W杯の盛り上がりをチームの収益性改善にどう結びつけるのか」など4つの質問を送付した。各社からの回答は以下の通りだ(※各社からの回答は文意を変えない範囲で編集している場合がある。並びは企業名による50音順)。

Q1 W杯の盛り上がりをラグビーチームの収益性改善にどうつなげていくと考えているか

 各社の回答から、トップリーグでの収益化の難しさが見て取れる。「ファン層の拡大策を進めたい」(クボタ)などの回答の一方で、「収益性を第一には考えていない」(NEC)、「そもそもチーム運営は収益事業ではない」(神戸製鋼)といった、ラグビーチームで儲けること自体を考えていない企業も目立った。

企業名

回答

NEC チームは会社の福利厚生活動の一環として、社員の一体感醸成等を目的に活動しており、収益性を第一には考えていないが、NECグループ会社からは協賛金を募り、その資金をチーム活動に充てている。グループ会社以外からも募ることは今後検討する。
NTTコミュニケーションズ ファンクラブ有料会員の増加、グッズ販売の拡大に力を入れていきたい。
NTTドコモ チームとして、有料ファンクラブ(スペシャルサポーター)の充実やチームグッズ販売の拡大、スポンサー企業の獲得に引き続き取り組み、ファンや地域住民から愛されるチームを目指したい。
キヤノン 基本的に、日本のラグビー界としてチーム(企業)間の垣根を越えて、ラグビーを、今大会開催によるブームから、文化へと変えていかなければならないと考えている。今回のW杯のように、試合会場に多くのファンが駆けつけ応援していただけるよう、当社としても魅力あるチーム(強いチーム)作りが必要と考えている。ラグビーには、「ラグビー憲章」と言われる、品位、情熱、結束、規律、尊重の5つのコアバリューがある。また、チーム構成には多様性(ダイバーシティ)がある。そういった特性を生かしながら、世界から認めていただけるようなチーム作りに着手していきたいと考えている。
クボタ ラグビーチームとしての収益という点では、トップリーグの観客数の増加が必要となる。そのためには、トップリーグ各社との更なる連携を通じ、W杯でラグビーに興味を持ち始めて頂いたファン層の確保・拡大策を進めていきたい。また、クボタスピアーズ自体の強化にも継続して取り組んでいく。
神戸製鋼 そもそもチーム運営は収益事業ではないので、収益改善には結びつかない。
サニックス 回答を控える。
サントリーホールディングス 回答を控える。
東芝 回答を控える。
トヨタ自動車 当社はラグビー部に限らず、企業スポーツ全体について、社員の意欲・活力の向上と一体感の醸成を念頭において取り組んでおり、その意味では足元のスポーツの盛り上がりが当社の取組みにも波及(従業員の応援参加増など)することを期待している。
パナソニック 期限までに回答なし。
日野自動車 W杯の盛り上がりで多くの方々がラグビーに関心を持っていただいたので、トップリーグの試合会場に足を運んでいただけるよう地域に対してのピーアール活動を積極的に行い、今まで収益の少なかったチケット収入を増やすとともに、ファンクラブ会員数を増やし収益増に繋げていきたい。
本田技研工業 回答を控える。
三菱重工業 ラグビー競技力向上と広報・普及活動の更なる拡大によりチーム価値を引き上げ、中長期的にはスポンサーやチケットでの収入を増やすことで収益性改善に繋げたい。
ヤマハ発動機 回答を控える。
リコー ラグビーファン増大による後援会会員の増加、チケット販売やグッズ等の販売増が見込まれる。

※三菱重工業の回答はダイナボアーズ広報事務局による。以下同。

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