社会課題の解決を目指す新興企業「インパクトスタートアップ」の業界団体が発足した。スタートアップ支援は岸田文雄首相の肝煎り政策で、「新しい資本主義」を後押ししようと政府も期待を寄せる。ただ、起業家や投資家の数の少なさなど、3つの壁が立ちはだかる。
10月14日、保育向けシステム開発のユニファ(東京・千代田)やクラウドファンディング仲介サイト運営のREADYFOR(レディーフォー、同)などの新興企業23社が共同で「インパクトスタートアップ協会」の設立を発表した。インパクトスタートアップとは環境やエネルギー、医療、福祉、教育、子育て、食、農業などの社会課題が残る分野で主に活躍する新興企業を指す。
社会課題をビジネスで解決する――。カネもうけよりも新たな価値の提供を重視する社会起業家は世界で増えている。オランダの調査会社によると企業価値が10億ドル(約1490億円)を超えるインパクト・ユニコーンが急増しており、足元では世界で179社と2年で3倍近くに達したという。

「スタートアップこそが社会の課題を成長のエンジンに転換する。新しい資本主義の考え方を体現するものだ」
岸田文雄首相は発足イベントにビデオレターを寄せ、日本発のインパクトスタートアップへの期待を語った。スタートアップ支援は岸田首相の肝煎り政策で、「新しい資本主義」を後押ししようと政府も期待を寄せる。インパクトスタートアップ協会は今後、行政とも連携しながら政策提言などをまとめる予定だ。
少子高齢化や地方の過疎化など、日本は課題先進国でもある。取り組むべき社会課題の多さは、伸びしろの大きさでもある。
ただ、そう簡単に事は運ばないかもしれない。インパクトスタートアップを取り巻く環境にも課題が多いからだ。大別すると3つある。
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