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 顧客ニーズの変化に対応した新たな業態への取り組みも課題だ。堀埜社長は「建設費や減価償却費をなるべくかけずにテークアウト、デリバリー需要に対応し、新店、新事業をどう安く出せるか」を検討しているという。

東京ではセンター化も検討

 テークアウトについては、レストランがばたついてしまっては評判を落とすため、店舗に負担をかけない仕組みづくり、調理の手間が少ないメニュー開発などを思案中。デリバリーについては実店舗を持たないゴーストレストラン方式も一つの手となる。

 しかし、堀埜社長は「売れなかったらと考えるとなるべく固定費を増やしたくない」と慎重姿勢。そのため「東京都は店舗が密集しているのでセンター化がやりやすい。既存店を生かせるかも検討している。面白いやり方が出てくるはず」と期待する。

 サイゼリヤには、グラスワイン100円(税込み、以下同)、パルマ産生ハム400円、ミラノ風ドリア300円、野菜ソースを使った若鶏のディアボラ風500円、ラムの串焼き400円など、他店にはない多くの人気メニューがある。思わず注文したくなる価格で本格的な味わいの料理を提供し、顧客の胃袋をつかんできた実績がある。

 企業の根っこにあるのは、イタリア料理は高級という外食産業の定石を外して普段の食事として提案を続けたそのチャレンジ魂と言えるだろう。

11月から「サパータイム」を提案

 新業態では新たに11月から洋食の食堂「ミラノ食堂」の展開を始める。店内座席が少ない小型店で、ドリアやパスタなどを提供し、価格帯で500~800円を想定する。営業時間はランチが11~15時、17~22時はディナータイムならぬ「サパータイム」を提案するという。

 つまりコロナ禍で夜間の外食頻度が減り時間帯も早まった変化に対応したもので、働く世代をターゲットに早い時間帯にさくっと素早く「軽めの夕食」を取るスタイル提案を試してみるというもの。ディナータイムに様々な料理を組み合わせて食事を楽しむコンビネーション型の食事を提案してきたサイゼリヤのレストランとは異なる切り口だ。

 ほかにも様々な新業態の店舗があり「データを取って最終的にどんな形にしていくかを検討していく方針」(堀埜氏)。一方、通常のサイゼリヤでの巻き返しにも余念がない。まず落ち込んだディナー時間帯の客足を呼び戻すためメニュー強化に力を入れるという。「どうなっても対応できるように様々なことを考えていく」(同氏)。

 先行き不透明な今こそ、得意とする定石外しから意外な突破口が見つかるかもしれない。