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 イタリア料理チェーン店を展開するサイゼリヤの2020年8月期連結決算は、営業損益が38億円の赤字に沈んだ。営業赤字は1999年に上場してから初めて。

 新型コロナウイルス感染広がりによって3月から約6カ月間、休業や時間短縮をしたため売上高が大きく減って費用を吸収できなかった。堀埜一成社長は前年同期比で「個人店に換算すると約700店舗分に相当する労働時間が消えた」とコロナ禍によって受けたダメージの大きさを説明した。

 「すごいインパクトの半年だった」。14日の決算説明会で、堀埜社長はコロナ禍の影響を労働時間を使って説明した。今年3~8月の売上高は前年同期に比べて38%減少した。国の緊急事態宣言に沿った200店舗以上の臨時休業などが響き、労働時間は同28%減少した。

 実際に減った労働時間は310万時間で、サイゼリヤの月間所定労働時間で割って計算すると、3100人が半年間働いたのと同等の労働時間が失われたことになる。その数はワークシェアリングで軽減した分を考慮するとおよそ2800人となり、少人数運営の個人店で700店舗相当の労働時間の喪失につながったのと等しい数字だという。

2期連続の赤字を見込む

 気になる今後の事業環境について堀埜社長は国内は「今後の経済再活性化とコロナの感染抑制バランスがどうなるか、首都圏に国内店舗の半分を構える企業としては東京五輪・パラリンピックの動向も営業成績に響く」と懸念を示した。

 さらに海外について「店舗を展開する中国などの状況、食材を輸入したり製造したりするイタリア、オーストラリアなどの影響も無視できない」と説明。グローバルの影響を受ける外食企業として国内外に不安要素を多く抱えている現状を明かした。

 21年8月期も苦境は続く。深夜帯の客足が鈍いため多くの店舗を22時閉店にして営業時間を短くする現状が長引くと想定し、9月実績を参考に予想を作った。この期の連結営業損益は10億円の赤字と、2期連続の赤字を見込む。店舗の固定資産を対象に減損損失を計上し、最終損益は36億円の赤字に落ち込む。

 「アジアの損益分岐点比率が70%台後半、国内は80%台後半と国内が高いのが我々の弱点。需要が戻らない前提でビジネスモデルをつくり上げるしかない」。堀埜社長は復活に向けてカギとなる主力の国内事業の黒字という難題に挑む。そのためには年間で1000億円強の売上高が必要だが、いまだコロナ感染拡大を警戒する客足を取り戻すのは容易ではない。まずは損益分岐点を引き下げるために総費用を減らすことを急ぐ。

「製造直販」にも、もう一度磨きをかける