日本最大のIT(情報技術)見本市「CEATEC(シーテック)2022」が10月18日、千葉市の幕張メッセで開幕した。3年ぶりのリアル開催となった今年のキーワードはメタバース(仮想空間)。米メタやNTTドコモなど日米の企業が集まり、離陸期を迎えつつある新市場の可能性を伝えている。

記者が実際にメタのブースに入り、仮想現実(VR)ヘッドセットをかぶってみた
記者が実際にメタのブースに入り、仮想現実(VR)ヘッドセットをかぶってみた

 会場の中央近くにメタバース関連のスペースがあり、記者はメタのブースに入った。仮想現実(VR)の映像を映し出すヘッドセットをかぶってみると、バーチャル会議室が目の前に広がった。男性アバターがこちらに向かってにこやかに手を振る。

 ヘッドセットは2020年に発売された「メタクエスト2」。その端末を通して入り込んだのは、21年に発表された同社のバーチャル会議室「ホライゾンワークルームス」だった。現実のパソコンの画面をメタバース上に映し出し、作業することもできる。

 メタは22年4月のアップデートで、コントローラーを持たなくても仮想空間で自分の手を自由に動かせるようにする「ハンドトラッキング」と呼ばれる機械学習の精度を大きく改善させた。ゴーグルの前に手をかざすと、自分の手がメタバース上で動き、パネルを操作したり、アバターとハイタッチをして音を鳴らしたりできた。

 「脱家電」を掲げてきたシーテックだが、今年の出展者数は新型コロナウイルス禍が発生する前の19年より3割少ない562社・団体。その中でも、今年初開催となった展示会内の集団出展「メタバースエキスポ」は目立っていた。19社が集まり、会場で最大規模の展示となった。

リアルな買い物体験を実現

 後悔させない買い物体験をメタバースで――。凸版印刷は、企業向けクラウドサービス「ミラバース・コア」で作成した仮想のショールームを展示した。高精細の3次元(3D)シミュレーションが作れるサービスで、現実の立体物の形や色、質感を正確に計測して再現する技術が使われている。

 自動車のショールームや住宅展示場の再現に利用すれば、実物をイメージしやすくなり、高額な支出をするかどうかの判断の助けになる。サービスを利用する企業は容易に材質の変更などができるため、コストを抑えてバリエーションを示せる。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1339文字 / 全文2255文字

【春割/2カ月無料】お申し込みで

人気コラム、特集記事…すべて読み放題

ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「1分解説」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。