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星野リゾートが米ハワイで20年1月から運営を手がける「サーフジャック ハワイ」
 

 背景にあるのは、これまでの成長を支えた戦略の「次の一手」が進んできたことだ。星野リゾートは施設の所有と運営を分離し、運営に特化する戦略を打ち出してきた。施設の所有に伴う金融負担を抱えることなく成長できる強みがあり、躍進の原動力になっている。反面、オーナーの意向によって運営を継続できないケースがあり、不安定さが課題となってきた。

 これに対して、星野リゾートが打ち出したのがリート(REIT)の活用だ。リートは投資家から資金を集めて不動産に投資する仕組み。リートが所有する場合、収益性が高ければ個別のオーナー企業に比べて経営への口出しが少なく、長期的な視点で運営しやすい。

 星野リゾートの100%出資会社である星野リゾート・アセットマネジメントは星野リゾート・リート投資法人を立ち上げ、同リートは13年に東京証券取引所に上場した。星野リゾートの最近の新規開業の施設は、所有が同リート、運営が星野リゾートというケースが増えている。

 西表島ホテルの場合、今年に入ってから星野リゾート・リート投資法人が取得。同リートから受託する形で、星野リゾートが運営を手がけることになった。リゾナーレ小浜島は星野リゾートのグループ会社が取得。これを契機に再び運営に着手する。星野リゾートの施設は所有がリートに移るケースがこれまでにあり、今後の動向が注目される。

 エリア別で見ると、沖縄の強化が目立つ。西表島ホテルとリゾナーレ小浜島に、星のやブランドで最大規模となる星のや沖縄、既存の星のや竹富島(沖縄県竹富町)を加えると、沖縄での運営施設は4カ所となる。

 沖縄の観光需要はこのところ拡大している。「沖縄の観光は平均単価からすると実は軽井沢よりもシーズンの繁閑の差が大きい。7、8月以外の時期の克服が重要だ。ハワイのようなビーチリゾートではなく、沖縄の文化をいかに楽しんでもらうかが大切」と星野氏は話す。

 世代別には若者への取り組みが目立つ。2カ所目となるBEB5土浦がオープンするBEBブランドでは、通年の定額料金制も導入。停滞する若者の旅行市場の活性化を目指す。1カ所目のBEB5軽井沢では定額料金制の利用が7割ほどに達するという。星野氏は「観光ではインバウンドが注目を集めがちだが、観光消費額で見た場合、8割を占めるのが国内客。将来を考えたとき、若者市場の開拓が欠かせない」と強調する。

 星野リゾートによると2020年中の施設数は45となる見込み。今後は北海道・白老、横浜、京都・和束町、奈良、奈良・明日香村、大阪、山口・下関、大分・湯布院、同・別府、長崎・雲仙、鹿児島・霧島などでも施設を手がける計画だ。水戸でも地域活性化の取り組みが進む。同リートが所有する旅館・ホテルには星野リゾートの運営ではない施設があり、運営が移行する施設が出てくる可能性もある。事業の拡大が今後も続きそうだ。

   
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