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相鉄バスは10月5日、一般客を乗せて大型バスの自動運転を実施した。運転席を無人とし、遠隔監視で操作する営業運転の実現を目指しており、実現できれば日本初という。これは自動運転の「レベル3」を想定したものだ。自動車大手の多くは遠隔監視が不要な「レベル4」を目指している。バス業界は一気にそこまで進まず、まず遠隔監視による自動運転を実現させ、人手不足などの解消に期待を寄せる。

相鉄バスは大型路線バスを改造した自動運転バスを使って営業運行を実施

 「1人の運転士が何台ものバスを遠隔監視・操作できるようになれば、10年前から課題になっている運転士不足が解消でき、路線の維持につなげられる」。相鉄バスの菅谷雅夫社長は、群馬大学発のスタートアップ企業、日本モビリティ(前橋市)と組んで自動運転バスの開発に取り組む狙いをこう話す。

 同社は2019年に自社保有の大型路線バス1台に日本モビリティの自動運転システムを搭載させ、共同研究を開始した。自動運転システムを開発する企業から車両を借り受け、期間を区切って実証実験するバス会社は少なくないが、自社保有に踏み切る会社は珍しい。

 20年2月には旭営業所(横浜市旭区)の敷地内に、自動運転のための周回コース(全長290m)を整備。携帯電話の4G回線を使ってバスを遠隔操作する設備も設け、現役の運転士に遠隔操作の訓練を行ってきた。そして今回、国土交通省や警察などの審査を通過し、不特定多数を乗車させる営業運転にこぎ着けた(貸し切り運行のため、乗客から運賃は取らない)。

 運行したのは、よこはま動物園正門と「里山ガーデンフェスタ」というイベント会場を結ぶ約900m。厳密には横浜市が管理する私道だが、来園する自家用車が走行するなど、公道とほぼ変わらない環境だ。