ハードの整備は進んできたが、成果が出るのはこれからだ。
再生に着手したとき、長門湯本温泉は業界団体が策定する全国の温泉地人気ランキングで86位だった。同推進会議はこれをベスト10入りまで引き上げる目標を掲げる。星野氏は「明確な目標にこだわることによって地域がまとまる。顧客視点で見たとき、魅力的な温泉地をつくる内容を計画に盛り込んでおり、トップ10入りは十分できる。今後はオフシーズンなどでのイベントなども大切になる」と話す。
長門市の観光客は米CNNのウェブ特集が市内にある元乃隅神社を「日本の最も美しい場所31選」に選出したことを契機に、訪日客(インバウンド)が急増。観光客数が隣接する萩市を上回るなど、追い風が吹く。一方、長門湯本温泉は全国的な知名度ではこれからという面があり、星野リゾートの面的再生が力を発揮できるかどうかの試金石になりそうだ。
長門のような面的再生ではないが、星野リゾートはこのところ、自治体から引き合いが増えている。星野リゾートは理由について「北海道のトマムのように再生の難易度が高いとみられた施設を収益化している点が大きいのではないか」とみる。トマムなどは年間の客室稼働率が約8割と高く、「星野リゾートに頼めば何とかなるのではないか」という自治体が多い。持ち込まれる案件は多いが、実際に進出するのは観光地として人気のエリアだけでなく、京都府和束町のようにあまり知られない場所も含まれる。新規・再生案件などの取得や開発を手がける星野リゾート企画開発部の石井芳明プロジェクトマネージャーによると「収益性のほか、チャレンジするだけのポテンシャルがあるかどうかが基準になる」という。ユニークな展開にこれまで以上に注目が集まる。
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