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 総務省は10月3日、ふるさと納税制度から大阪府泉佐野市を除外した決定を、引き続き維持すると発表した。第三者機関の「国地方係争処理委員会(係争委)」が再検討を勧告していたが、アマゾンのギフト券を配って寄付を集めるなどした同市の参加を認めれば、多くの自治体で不公平感が高まることは必至だった。両者の争いは今後、法廷に場所を移す。

 高市早苗総務相は4日の閣議後会見で、「ごく少数の自治体が制度の趣旨に沿わない方法で募集を継続して、自治体間の公平性が損なわれた」と改めて強調。6月から返礼品は寄付額の3割以下の地場産品に限るといった法規制を導入するに至った経緯を説明した上で、「制度の趣旨に沿った運用を実現したい」と話した。

 総務省は6月の新制度で泉佐野市を除外した決定について係争委から再検討を勧告されていた。係争委は過去の行為を除外の直接的な理由にしないよう勧告したが、同省は公立大学法人に対する寄付金控除などを例にして、他の税制でも、過去の事実に基づき適用の有無を判断することはあると説明した。

 対応に問題はなかったとする総務省に対し、泉佐野市は「到底受け入れられない。次の段階に進むのであれば司法の場になる」(千代松大耕市長)と反発。大阪高裁に提訴する見通しだ。

 「今回の争いはどちらかが正義で、どちらかが悪というものではない」。このように指摘するのは、一橋大学大学院経済学研究科の佐藤主光教授(地方財政論)だ。

 佐藤教授はその意味するところを以下のように説明する。

 強制力のない技術的な助言を法規制の根拠にした総務省は、国と地方が対等であるという地方自治の理念を忘れている。一方で、金券で寄付金を集め、ほかの自治体からの税収の流出を招いた泉佐野市の行為も、地方自治の精神になじむものではない――。

 今回の騒動もあり、ふるさと納税の見直しは、国と泉佐野市の対立構図で捉えられがちだが、本来利害が対立しているのは地方自治体同士だ。泉佐野市のような手法で巨額の寄付を集めれば、ほかの市町村から税収が流出する仕組みになっているからだ。

 地方自治体の間での自浄作用が働かず、総務省がやむなく介入に至り、国と自治体が法廷で争うまでに事態は進展した。このことは地方自治の歴史において大きな汚点となるだろう。

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