自動車販売の業界団体がまとめた2019年9月の国内新車販売台数(軽自動車を含む)は前年同月比12.9%増の54万8209台だった。10月の消費増税を控えた駆け込み需要の影響は14年4月の前回の増税時に比べ「3分の1程度」(日本自動車工業会の豊田章男会長)との声があったが、増税直前に一定の駆け込みがあったことをうかがわせる。各社の新車投入効果も販売増の背景にはあるとみられる。新車販売の今後を占ううえでは、増税に伴う消費者心理が冷えるかどうかが焦点となりそうだ。
9月 | 1~9月 | |||
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登録車 | 34万7706 | 12.8 | 262万6571 | 2.8 |
軽自動車 | 20万0503 | 13.2 | 152万3114 | 3.8 |
合計 | 54万8209 | 12.9 | 414万9685 | 3.1 |
日本自動車販売協会連合会(自販連)がまとめた9月の登録車(排気量660㏄超)の販売台数は12.8%増の34万7706台、全国軽自動車協会連合会(全軽自協)がまとめた軽自動車の販売台数は13.2%増の20万503台だった。
ダイハツ工業が7月に全面改良した「タント」や、ホンダが8月に刷新した「N-WGN」などの効果も手伝い、軽自動車は8月に続いての2桁増。一方、登録車は8月の前年同月比4%増から一気に伸びた。一般的には新車を契約したとしても、人気車なら登録まで1カ月程度を有することもあるため、9月の登録数の増加は8月以前の販売動向も一定程度反映されているととらえるのが自然だ。

増税前に盛り上がりをみせたかに見える新車販売だが、1~9月で見れば登録車、軽自動車ともに需要の増加は1桁前半にとどまる。消費増税に備え自動車税を減税し、自動車取得税を廃止する政府の需要変動対策などが一定の効果を上げたというのが、豊田会長の「駆け込みは想定の3分の1」との表現にも表れている。
もっとも業界が気をもむのは、自動車だけに増税後の反動減が出ることではなく、増税を機にした消費マインドの減退なのかもしれない。かつてほど駆け込みの山は高くなかったかもしれないが、重税感が広がれば家計が支出を抑えることも予想される。そうなれば、「急激な駆け込み需要とその後の反動減を抑える」というシナリオが狂いかねない。
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