顧客が不利益を被る契約が多数見つかったかんぽ生命の問題で、日本郵政グループは9月30日に会見を開き、社内調査の中間報告をした。保険料の二重徴収や無保険状態などの疑いのある、郵便局で2014~18年度に結んだ18万3000件の契約に関し、同グループは特別調査委員会を設置して契約時の状況を聞き取るとともに、顧客の意向を再度確認するとしていた。7月31日の会見では、9月中旬までに中間報告をするとしていたが、9月末日ギリギリのタイミングでの発表となった。

(写真:森田直樹/アフロ)
(写真:森田直樹/アフロ)

 調査の進捗については18万3000件の3分の1強に当たる6万8000件について契約時の状況を確認することができたという。うち、法令違反や社内規定違反とみられる契約は6327件だった。この件数は今後さらに膨らむ可能性が濃厚だ。10月から再開するとしていたかんぽ生命による保険の営業は、20年1月まで延期する。

 7月の段階では、同グループは金融庁に報告していた18年度の法令違反の件数を22件としていた。それだけに9月30日の会見では、今後も大幅に膨らむであろう法令違反の件数をどう捉えるのか、経営陣として責任をどのように取るのかについて報道陣からの質問が相次いだ。また調査の進捗スピードが遅すぎるのではないかとの批判も目立った。

 「外部のアンテナ、社内でのアンテナが十分立っていなかった」。日本郵政の長門正貢社長は、経営陣の間に現場で起こっていることを把握しようとする感度が不足していたと述べた。テレビ番組や雑誌などで、不適切な保険販売やノルマについて相次いで報じられた際も、当初は「偏向した報道であると思った」「アンフェアな取り上げ方だと感じた」という。そして、取り上げられた問題に関し、現場にきちんと確認することもせず、テレビ局に抗議したことを「反省している」と語った。初動の悪さを認めたという点においては、前回の会見よりも反省の色が見られたと言える。

 その一方で、問題の所在を現場に押し付ける姿勢は相変わらずだった。問題への対応の遅れに関し、日本郵政グループの取締役会のガバナンスが機能していないのではとの報道陣の質問に対して、「現場からまったく情報が上がってこなかったからだ。議論する材料が十分あれば、きちんと機能できる取締役会だ」と長門社長が反論する場面があった。

 午後3時に始まった会見は、3時間近くに及んだが、質問が途絶えることはなかった。このことは、今も多くの疑問が解消されていない証しであり、経営陣がどのように責任を取るのか、いまだ不明瞭であることに対する不満でもある。

この記事はシリーズ「1分解説」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。