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 10月1日、消費税率が8%から10%に引き上げられた。今回の消費増税がこれまでと大きく異なるのは、食品などへの軽減税率の適用とともにキャッシュレス決済によるポイント還元の制度が導入された点にある。

 政府は消費者や中小事業者の負担を軽減する策として約2800億円の予算を投じ、キャッシュレス決済によるポイント還元制度を導入した。9カ月間の期間限定で、中小規模の店舗でキャッシュレス決済をすると、購入価格の2%または5%分のポイントが利用者に還元される。経済産業省によると10月1日にポイント還元を始められる登録加盟店は約50万店で、専用のアプリから対象の店舗を検索できる。

 2019年は「キャッシュレス元年」とも言われる。スマートフォンを利用した決済が本格的に広がり、各社がサービスを競っている。こうしたキャッシュレス決済をうまく使えば、日々の暮らしに必要な雑貨などは増税の負担を大きく感じることなく購入できる。だが、恩恵を受けるにはいくつかの注意が必要だ。

 各種のキャッシュレス決済のなかでも現在、広く利用されているのがクレジットカードだろう。クレジットカードの場合、ポイント還元を受けるために利用者が事前手続きをする必要がない。クレジットカード会社によって異なるが、対象店舗で決済をすればクレジットカードのポイントとして利用者に還元されるという。

主なキャッシュレス決済サービス
キャッシュレス決済の種類によっては、政府のポイント還元制度を利用する際に登録が必要な場合も
 

 注意が必要なのが交通系の電子マネーだ。主要3サービス「Suica(スイカ)」「ICOCA(イコカ)」「PASMO(パスモ)」では、事前に専用サイトから会員登録をする必要がある。スイカの無記名式のカードではポイントの還元は受けられない。「無記名のまま個人情報が登録されないと、悪用の危険も考えられる」(JR東日本)からだ。

 ただ、登録さえすれば独自のキャンペーンもあり、恩恵は大きい。例えば、JR東日本はスマートフォン用の「モバイルSuica」を利用した人に、乗車料金のうち2%分をポイントとして還元する独自のキャンペーンを10月1日から開始した。

 モバイル決済に詳しいMMD研究所(東京・港)の森路子氏は「手続きの必要がないものと、事前・事後に登録が必要になるタイプがある。キャッシュレスに慣れていない人は、これらのサービスが混在していることに気を付けてほしい」と話す。

 消費増税を前に大型のキャンペーンで話題になったのが、QRコードやバーコードを使ったスマートフォン決済だ。これらのサービスは、アプリを利用する際に会員登録やクレジットカード情報の入力が必要になるものの、ポイント還元を受ける際に特別な手続きはいらない。その上、各企業のキャンペーンも加えれば消費税分を実質ゼロにすることもできる。

 
 

 ソフトバンクグループ傘下のスマホ決済「PayPay(ペイペイ)」は10月1日から11月30日までポイント還元の対象店舗で決済をすると、さらに5%を還元するキャンペーンを開始した。2万5000円までの決済であれば、最大で10%の還元を受けられる計算になる。

 楽天が運営するスマホ決済「楽天ペイ」は経産省が対象外とする大手チェーン店でも、楽天が負担し5%を還元するキャンペーンを12月2日まで実施する。大手コンビニエンスストアでは、一部店舗を除きキャッシュレス決済で購入価格の2%をその場で割り引く。楽天ペイの5%還元に加え、楽天ペイの支払いに楽天カードのクレジットカードをひもづけていれば、1%分の楽天ポイントが付与される。そのため、軽減税率が適用される食品などでは消費税率と同等の8%分が割引きもしくはポイント還元となる。

 うまく利用すれば、家計の助けになりそうなキャッシュレス決済によるポイント還元。ただ、「丁寧に説明してくれる窓口などはなく、利用者がホームページなどで調べる必要がある」(森氏)ため、おトクに利用するには消費者側の賢く利用する姿勢が欠かせない。

  
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