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 人手不足が深刻な介護業界。介護食の調理の手間を省くなど、人手不足でも業務を進められる仕組みが急務になっている。そのため食品各社が相次ぎ介護食に注力している。

 マルハニチロは介護用冷凍食品を強化する。2019年3月にはムース状の冷凍ハンバーグやオムレツを発売した。蒸すだけで提供できるため、調理時間を短縮できる。さらに、食材を細かく切ったり、ミキサーで液体状にしたりするより、見た目も良く、喫食率の向上が期待できるという。

マルハニチロが提供する介護食。見た目はハンバーグだが、ムースでできている

 同社は元々、果物や野菜をムースやゼリー状に固めた商品を発売していた。だが、「想定以上に、介護現場の人手不足が深刻になった」(荒川祥一・メディケア営業部商品開発課課長)ため、ハンバーグなど完成品の発売も開始。より時短効果の高い商品を投入した。マルハニチロは介護食を成長分野と位置付けている。18年度の売り上げは16年度比で約20%増加し、19年度も18年度比13%の増加を見込んでいる。新商品の投入で事業拡大を図る。

 調理と並んで、介護者の負担が重いのが排泄ケアだ。寝たきりの高齢者の中には便秘がちの人も少なくない。便秘を解消しようと下剤を使うと下痢になることもあり、介護者は1日に何度も汚れたおむつやシーツの交換に追われる。

 ネスレ日本は、流動食「アイソカルサポート」で排泄ケアの負担軽減を図っている。食物繊維を配合することで腸内環境を整える。同商品を利用する福岡県内の看護師、種子田美穂子氏は「1日に1回もしくは2~3日に1回、健康な便が出るようになり、介護者の負担が減った」と話す。約3500の介護施設や病院で導入が進む。

 厚生労働省によると、要介護・要支援認定者は5月時点で659万人と、10年前に比べて4割増加した。一方で、人手不足は深刻で、7月時点の「介護サービスの職」の有効求人倍率は4.33倍と職業計の1.41倍を大きく上回る。介護業界関係者は「外食など人手不足が深刻と言われる業界の中でも、人材獲得競争で負けており、外国人も来ない。集まってくる人の中には高齢者も多く、介護施設も『老々介護』状態」と打ち明ける。

 一方で、食品メーカーにとって介護食は、人口が減少する国内市場では数少ない成長市場だ。医療費削減の観点から政府は在宅介護を推進しており、今後は家庭用介護食も増加していくと見込まれる。キユーピーやアサヒグループ食品なども家庭用介護食に注力しており、今後も各社が力を入れていきそうだ。

 
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