富士通は9月26日、6月に就任した時田隆仁社長の下で策定した新しい経営方針を発表した。技術開発や企業買収などに5年間で5000億円を投じることが柱だ。2022年度に主力事業の売上高を18年度比12%増の3兆5000億円まで伸ばしつつ、営業利益率10%の達成を目指す。

経営方針を説明する富士通の時田隆仁社長
経営方針を説明する富士通の時田隆仁社長

 「5%の壁」。これまで営業利益率5%以上という目標を何度も掲げながら達成できなかった富士通では、こんな言葉がささやかれてきた。田中達也前社長(現会長)も在任中の営業利益率10%という目標を掲げたが、未達で退任した。過去20年で最高だったのは17年度の4.5%だ。

 富士通は企業向けにITシステムを提供する「テクノロジーソリューション」事業が主力で、全社の売上高の約8割を占める。同事業の18年度の売上高は3兆1200億円。全社共通費用などを加味した営業利益率は4.4%だった。これを22年度に10%に引き上げる。

 ITシステムを企業向けに提供する既存事業のコスト削減で700億円、顧客企業のデジタル変革を促す事業の拡大で500億円など、2000億円超の利益上積みを果たす考えだ。時田社長は26日に開いた説明会で「容易な道ではないが、各種の施策を着実に実行すれば達成できる」と述べた。

 企業向けパソコン販売などの「ユビキタスソリューション」事業と、LSIや電子部品などの「デバイスソリューション」事業を含む全社売上高の計画は示さなかった。富士通はITサービス事業に経営資源を集中させる方針の下、パソコンやスマートフォン、カーナビなどの事業を次々に売却してきた。「本業であるテクノロジーソリューションに集中する方針に変更はない」(時田社長)。

 時田社長は「私の使命は富士通を成長軌道に乗せること」と話し、AI(人工知能)や次世代通信規格「5G」などの技術開発やベンチャー投資、M&A(合併・買収)、社内改革などに5年間で5000億円を投じる方針を示した。社内プロセスやカルチャーの変革、ジョブ型の人事制度の導入なども進める。

 売り上げ拡大策の目玉は、20年1月に設立する顧客のデジタル変革を支援する新会社だ。当初は500人規模でスタートし、22年度に2000人体制に拡大する。独立した企業として事業を展開し、22年度に連結ベースで3000億円の増収効果を狙う。

 3兆円前後の売上高で推移してきたテクノロジーソリューション事業を成長軌道に乗せ、その上で未踏の営業利益率を達成できるか。二兎(にと)を追う意思を固めた時田社長のリーダーシップに成否がかかる。

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