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 日本自動車工業会(自工会)の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は9月26日、東京都内で記者会見を開いた。豊田会長は、日米貿易協定の最終合意にあたり米国による自動車への追加関税が回避されたことについて「自由で公正な取引が維持できることを歓迎したい」と述べたほか、10月下旬に開催される「東京モーターショー2019」についても言及した。

日本自動車工業会の豊田章男会長は東京モーターショーの開催にあたり、強い危機感を示した(9月26日、東京都港区)

 東京モーターショー2019は10月24日から11月4日までの12日間、開催される。26日の会見で、豊田会長は「自動車業界だけで未来を表現することには限界がある。東京モーターショーでは全ての方々に移動の自由を見せていきたい」と語った。

 今回の東京モーターショーでは自動車メーカー以外に、NTTやパナソニック、富士通などが参加し、完全自動運転車の室内空間のコンセプトなどを展示する。来場者数は100万人を目指すという。

 ただ、豊田会長は「今までの(モーターショーの)やり方では来場は減るだけ」と強い危機感を見せた。17年の東京モーターショーの来場者数は77万人と、ピーク時の201万人(1991年)と比べ半分以下に減っている。今年の東京モーターショーでは自動車のデザインやホイールの取り付けなど、体験型の展示を増やし、子供から大人まで楽しめるようにするという。

 出展企業や来場者の減少に悩まされているのは東京だけではない。世界各地で開催されるモーターショーも同様の悩みを抱えている。ドイツで今月開催されたフランクフルトモーターショーでは仏ルノーなどが出展をやめ、「モーターショーの体をなしていなかった」(日系メーカー幹部)との声もあったほどだ。

 米国ではすでに、デトロイトモーターショーから毎年1月にラスベガスで開催される家電見本市「CES」に自動車関連の展示の場が移行しており、米フォード・モーターをはじめ自動車メーカーが相次ぎ出展している。CESは自動運転や新しいモビリティサービスの展示の場として注目されたことで、家電見本市から最新のテクノロジーの体験できる展示会へとうまく脱皮した。一方で、CESと同様、毎年1月に開催していたデトロイトモーターショーは来場者がCESに偏ることなどを理由に、来年から開催時期を6月にずらすと発表している。

 100年に一度の大変革時代と言われる自動車業界。その変革に向き合わなければ、デトロイトモーターショーが色あせてしまったように、他の産業や地域の展示会に食われかねない。東京モーターショーはそんな岐路に立たされている。

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