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 シャープは9月25日、スマートフォン(スマホ)の新機種「AQUOS zero2」を発表した。自社製の有機ELディスプレーを搭載するスマホの第2弾として今冬に発売する。シャープは新商品の価格を明らかにしていないが、10万円前後になるとみられる。同社の「スーパーフラグシップモデル」として、「ゲーム」を前面に押し出していく。

シャープが発表したスマートフォンの新機種「AQUOS zero2」(右)

 「市場の広がりもあり、コミュニケーションを通じて感動価値を提供できる」。シャープでモバイル事業を統括する中野吉朗本部長は、「ゲーム」ユーザーに訴求する端末を開発した狙いをこう語る。

 シャープによると、モバイルゲームのユーザーには「ライト層」と1日数時間遊ぶ「ガチ層」の間に、「エンジョイ層」と呼ばれる課金をするコアユーザーが増えてきているという。今回のAQUOS zero2は、まさにエンジョイ層をターゲットに機能を高めた機種となる。

操作の遅延を80%短縮

 新機種のこだわりとして挙げたのが、表示性能や操作性能だ。自社開発の有機ELディスプレーは、1秒間に60フレームを表示する通常の駆動方式に対して、フレーム数を2倍に増やしたうえで、さらにフレーム間に黒画面を挿入する。これにより残像の少ない映像表示を実現したという。

 操作性では、タッチパネルも通常の4倍速で検出するようにした。これらの技術の組み合わせで、タッチ操作から画面表示までの遅延を「約80%短縮できた」とパーソナル通信事業部の小林繁事業部長。「ギリギリの勝負を分けるような(ゲームの)シチュエーションでも勝ちにいける」と続ける。

「ゲーム」特化をアピール

 長時間持って遊んでも疲れないように軽量化も実現。有機ELディスプレーのサイズは従来機種の6.2インチから6.4インチに大型化しながらも、重さは約143gと約3g軽い。きょう体の素材にマグネシウム合金を使用し、プリント基板を25%小型化するなどして「もはや衝撃的ともいえる異次元の最軽量を達成した」と小林事業部長は胸を張る。

 シャープは国内最大級eスポーツイベント「RAGE(レイジ)」やeスポーツチーム「DetonatioN Gaming」などの支援も進める。ここまでしてゲームにこだわるのには、国内スマホ市場を取り巻く変化への危機感があるからに他ならない。

 日本では10月から電気通信事業法が改正される。通信料と端末代金が分離されるため、端末代金は高くなる可能性が高い。そうなれば、「なんとなくハイエンドスマホを選ぶという文化は終焉(しゅうえん)する」と小林事業部長は危機感を口にする。

 小林事業部長は「エンジョイ層はスマホユーザーの3割弱」とその潜在市場を認めつつも、具体的な販売目標は掲げなかった。かつてのフラグシップモデルに比べてニッチな市場になるのを覚悟しているのかもしれない。

 「明確な目的や意思などのこだわりが、フラグシップに求められる」と小林事業部長。今後について詳細は明かせないとしながらも「何かに特化していくのはフラグシップの1つの方向性」と続ける。2020年度にアンドロイドOS(基本ソフト)を使ったスマホで国内シェア4割を掲げるシャープ。これまでよりもニッチ市場でユーザーの心をつかみ続けるには、同社の代名詞である「目の付け所」を研ぎすましていく必要がある。

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