空調大手のダイキン工業がこのほど、「世界一周インターンシップ」の報告会を開いた。インターンは8月中旬に3週間を使って実施。米国や中国、ベルギーなどダイキンの主な海外拠点を回り、会社が与えた課題をこなす内容だ。対象は東京大学の学生で、240人の応募者の中から筆記試験、面接などを経て選ばれた10人が参加した。ちなみに、これとは別に40人の東大生も1つの海外拠点に滞在する形で、同じようなインターンを経験した。

ダイキンの役員や人事担当者向けに東大生が報告した
ダイキンの役員や人事担当者向けに東大生が報告した

 会社が求めたのは、新製品やサービスの提案だ。ダイキンの役員や人事担当者向けの報告会では、空調機器が部屋を見渡せる高い位置に設置する点を生かして、カメラを備えた「見守り空調」を提案した学生の姿も。これがあれば、「孤独死を防ぐことができる」とその意義を説明してみせた。

 「東大生の感性の豊かさやプレゼンテーション能力の高さを感じた」。学生たちの報告を聞いたダイキンの人事担当者はこう手ごたえを語った。だが、ダイキンの峯野義博専務執行役員・グローバル戦略本部長は「ダイキンには入社しなくてもよいです。世界で活躍する人材になってください」と学生にエールを送る“太っ腹ぶり”をみせた。

 「できれば入社してほしい」(ダイキンの役員)のが本音だが、インターンは就業体験の場。採用と直結するものではないというのがダイキンの立場だ。

 それでも、合計50人を海外拠点に送り込むには費用も手間もかかる。なぜ、ダイキンはこんなインターンを始めたのか。

 まずは、日本の大学のトップである東大の中でダイキンブランドを向上させることがある。ダイキンは大阪市に本社を置く会社で、関西に比べると関東ではなじみが薄い。主力は空調事業で、パナソニックなど総合家電メーカーに比べると学生の認知度は高くない。近年は理系学生を中心に、十数人ほどの東大卒の学生がダイキンに入社するというが、認知度向上の余地は大きいとみる。今回のインターンシップの応募者数約240人については、「予想以上あった」(東大職員)といい、何百人もの学生の目に触れた点でも効果はあったと言える。

 もう1つ、ダイキンが期待するのが、将来性ある優秀な人材とのパイプ作りだ。同社担当者は「優秀であれば、どの業界に行っても活躍する可能性は高い。例えば、将来ビジネスパートナーにふさわしいスタートアップの社長になることも考えられる」と話す。ダイキンに入社しなくても、10~20年後に彼らが活躍する年代になったころ、学生時代に作った彼らとのパイプが生きる。現在はいわば種まきのタイミングということだ。

 実はダイキンは2018年12月に東大と協定を結び、10年間で100億円拠出することを約束している。東大発スタートアップへの出資に加えて、こうしたインターンを通じた東大生の育成にも資金を提供する試みだ。

 「後輩に紹介したい」「来年は今年より選考倍率は高くなるのでは」など、学生からも好評だった今回のインターン。今後10年続く東大との提携の1年目としては、まずまずの滑り出しとなったようだ。

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