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 ニューヨークの国連本部で23日、気候行動サミットが開かれ、各国が温暖化ガスのさらなる排出削減などの目標を明らかにした。

 世界気象機関(WMO)が22日に先立って公表した報告書でも、2019年までの直近5年間の世界の平均気温は観測史上最も高く、その前の5年間より0.2度上昇すると指摘。二酸化炭素(CO2)など温暖化ガスの排出量は年々増加しており、CO2削減が温暖化対策として急務になっていることを示した。

 そうしたCO2削減の手法の一つとして、アマモやコンブ、ワカメなどの海洋生物への期待が高まっている。陸上の樹木による「グリーンカーボン」に対し、海中でのCO2吸収・固定は「ブルーカーボン」と呼ばれている。09年に国連環境計画(UNEP)の報告書に新しい吸収源の選択肢として盛り込まれたことで、注目を集めるようになった。

 日本でも有識者らからなるブルーカーボン研究会が17年に設置されたほか、今年6月に閣議決定された「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」でも、ブルーカーボンについて「CO2吸収源としての可能性を追求する」と言及された。

 実際の取り組みも進みつつある。以前からブルーカーボン事業に力を入れてきた横浜市では今月17日、14年度から設ける市独自のカーボン・オフセット制度である「横浜ブルーカーボン・オフセット制度」で、金沢区の約7万7800平方メートルのアマモによるCO2吸収量12.3トンをブルーカーボンとして、初めてクレジット認証したと発表。同制度でクレジットに認証され取り引きされれば、資金面の支援を受けたり、活動の認知度向上につなげられたりするという。

 宮城県でも今年度からブルーカーボン普及のための講習会などを実施。養殖業者に向けて、ワカメやノリなどの養殖技術を向上させることで、安定生産だけでなく温暖化対策にもつながることなどを説明し、養殖量の増加も目指しているという。

 課題が2つある。1つは定量評価の基準が明確にできないという点だ。現状では「効果があることは分かっていても、吸収量の計測や推計をどのように実施していくかが決まっていない」(国交省港湾局)。

 ブルーカーボン研究会が18年3月に公表した推計では、CO2吸収量は藻場の拡大とともに13年の年173万~679万トンから30年に204万~910万トンまで拡大するとした。推計の幅が大きい。CO2吸収の手段として効果があることは間違いないとされる一方、具体的な測定方法が明確になっていない中、吸収量が明らかにできないのだ。今回吸収量を12.3トンとした横浜市でも、従来の独自の調査や文献などから推計していた量と比べ倍以上の開きがあったという。国交省は今年6月から設置する検討会でCO2算出に向けた方向性の検討を議題に挙げている。

 もう1つの課題は知名度の低さだろう。企業や行政がブルーカーボン事業に積極的に取り組むためには、消費者・有権者のそれに基づく機運の醸成が欠かせない。温暖化対策で、海洋国家・日本が果たせる役割は大きいということを知っておきたい。

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