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 トリドールホールディングス(HD)は9月24日、東京都渋谷区道玄坂に設けた新オフィスを報道陣向けに公開した。「渋谷ソラスタ」の19、20階(総専有面積約3400m2)に新設されたオフィスには全社員3871人(2019年3月末)の1割弱にあたる約350人が働く。トリドールHDは9月1日に本店所在地を神戸から渋谷に移転しており、名実ともに本社機能が東京に移ったことになる。

 新オフィスには、仕事に応じて最適な場所を選ぶというオランダ発祥の「アクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW)」と呼ばれる設計思想を取り入れた。フリーアドレス制を導入し、50~60種類にも上る多彩なデザインの家具や、観葉植物を配置したオフィスは外食企業というよりもITベンチャーを想起させる。

 トリドールHDによると、「机上に多くの観葉植物を配置し、視界を遮る」「仮眠室やハンモックを導入する」「(同社が運営する)各業態の新メニューなどを取り入れた多彩な食事を提供する」といった生産性や集中力をアップさせるための仕掛けをちりばめたという。

 同社がこのようなオフィスをつくった背景には、外食産業における人材不足がある。

 厚生労働省の調査によると、19年7月の有効求人倍率(パートを除く)は全職種で1.40倍なのに対し、飲食物調理では3.02倍、接客・給仕では2.97倍と依然として人手不足が深刻だ。新オフィスのデザインについて、トリドールHDの粟田貴也社長兼CEOは「個人的な見解だが、外食は不人気で、優秀な人材は他業界に流れがちだ」としたうえで、「まずは外食も1つの就職先として優秀な人材にも見てもらえるような工夫をこらした」と語る。

 トリドールHDの新オフィスは米スターバックスの店舗から着想を得たという。粟田社長は「スターバックスの店舗では国に関係なく多くの人が仕事をしている。『(社員は)こんな環境を求めているのか』と感じた」と話す。

 同社の19年3月期の世界での店舗数は1678、連結売上高は1450億円だった。これを25年までに6000店舗、売上高5000億円にする目標を掲げている。「世界に打って出るにはブルーオーシャンを開拓できる人材が必要」(粟田社長)であり、世界を舞台に成長を遂げるためには優秀な人材の確保が不可欠だ。東京・渋谷の新オフィスは新たな人材獲得の起爆剤となるか。

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