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 トリドールホールディングスが運営するうどん店チェーン「丸亀製麺」に対して、一部のブログで「讃岐うどんに対するリスペクトが全く感じられない」などと批判があり、ネット上で「うどん論争」として話題となっている。

(写真:西村尚己/アフロ)

 論争を巡っては、讃岐うどんブームの仕掛け人とされる「麺通団」ウェブサイトの14日付の「団長日記」で、「丸亀製麺のビジネスとしての自らリスクをとったチャレンジとその成功に対しては高く評価している」と前置きしたうえで、「丸亀製麺は香川県の会社でもなく香川県でうどん店や製麺業をやっていた実績もないのに『讃岐うどん』を名乗り、『讃岐うどんチェーン』として全国展開を始めた」「讃岐うどんの歴史や文化、技術、そして魂をないがしろにするようなことは、なるべく控えてほしい」などと訴えた。この内容がツイッターなどで拡散し、ネット上で賛否が巻き起こった。

 丸亀製麺を運営するトリドールホールディングスは兵庫県が発祥で、現在は東京・渋谷に本社を構える。同社のホームページによると、香川県には高松市に2店あるのみ。香川以外では海外225店を含む国内外1000店以上を運営している。「本場である香川発祥の企業でもないのに讃岐うどんの看板を掲げてもうけてよいのか」というわけだ。同社は「ネットで話題になっている記事をはじめ、私どもはすべてのお客様のお声を真摯に受け止め、より多くの方々に喜んで頂けるように努めてまいります」とコメントした。

 ただ、丸亀製麺に対する本場の視線は意外にも温かい。香川県丸亀市の広報担当者は「丸亀製麺さんとは良好な協力関係にある」と話す。「(トリドールホールディングスの)粟田貴也社長は、市の文化観光大使として、PRをしてもらっている。また、全国の店舗内に丸亀市のポスターを張ってもらっており、昨年の西日本豪雨で市の象徴だった丸亀城の石垣が崩落した際、社長からは補修のための支援金1000万円の寄付をいただいた。うどん作りのチャリティーイベントも開いていただき、収益は市にすべて寄付してくれた」と語る。

 地元からも丸亀製麺の貢献を評価する声が出ている。7月2日を「うどんの日」と称して催しを開くなど、讃岐うどんブランドの向上に取り組んでいる「本場さぬきうどん協同組合(高松市)」の大峯茂樹理事長は、「丸亀製麺は、本来の讃岐うどんの麺を提供しているとまでは言えないが、讃岐うどんを全国的に有名にしたという貢献は一部ある」と一定の理解を示した。

 そのうえで「今、『讃岐うどん』をうたって、ドリンクで有名になっているタピオカ由来のでんぷんを利用してコシを出しているうどんが増えている。確かに、タピオカのでんぷんを少量使うことはあるが、大量に使うのは讃岐うどんではない。そのようなうどんはサービスエリアなどでたくさん出されていて、それよりは自家製麺を使用している丸亀製麺の方がまだましだ。一番の問題は、丸亀製麺以下のうどんがたくさんあること」と憤る。

 そもそも、こうした表示は許されるのか。大峯理事長によると「讃岐うどん=うどん」としての認知度が高いため、国内では名称の使用制限はない。ただ、景品表示法に基づく「生めん類の表示に関する公正競争規約」によると、商品名に「名産」「特産」「本場」「名物」などと表示する場合、讃岐うどんは「香川県内で製造されたもの」「食塩が小麦粉重量に対し3%以上」「熟成時間2時間以上」などと厳しい基準がある。しかし、逆に言えば、「名産」などと表示しなければ、こうした基準をクリアしていなくても「讃岐うどん」として販売してもよいということになる。

 讃岐うどん以外にも、「信州そば」「札幌ラーメン」「出雲そば」「長崎チャンポン」「長崎炒麺」「沖縄そば」「名古屋きしめん」「甲州ほうとう」「盛岡冷めん」で、名産などと表示する場合には同様の基準がある。消費者が本場の味あるいは本場に近い味を楽しみたい場合は、商品名に「名産」「特産」「本場」「名物」という言葉が記載されているかどうかが、一つのポイントとなりそうだ。

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