日本でも広がりをみせるeDNA

 このeDNAの研究は、日本でも徐々に広がりつつある。環境DNA学会は当初会員数200人ぐらいで2018年に発足したばかりだが、1年で会員数は400人弱にまで増えている。とりわけ注目できるのは、大学などの基礎研究者だけでなく、行政関係者などが応用面で高い関心を寄せていることだ。

 ゲノム解析装置の大手企業であるイルミナでマーケティングを担当する藤原鈴子マネージャーは、「水産資源のモニタリングや、沿岸整備の影響をモニタリングする手法として注目されているようだ」と話す。従来は、実際に魚を捕ったり、潜水して観察したりすることでどのような魚種がいるのか調べていたところを、水をくんでろ過して解析するだけで済むので効率よく調べられる。ちなみに、eDNAでは土壌中のDNAの解析も行われているが、試料採取の問題から、水を用いた解析がリードしている状況だ。

 ネス湖のプロジェクトでは、サンプル中の様々な生物のDNAを解析したようだが、例えば魚なら魚特有の遺伝子の部分を調べることで、その水域に生息する魚の種類と生存量をある程度把握できる。また、湖水中のDNAを解析することで、周辺地域に生息する動物や鳥の種類なども解析できたとも報告している。

 eDNAの研究が広がりを見せる中で、試料を採取した現場ですぐに解析できる可搬型のゲノム解析装置なども商品化されている。環境破壊や乱獲などで生物の多様性が損なわれることが危惧されている中、eDNAはそうした変化をモニタリングする手法としても今後、広がりを見せそうだ。

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