太陽光や風力といった再生可能エネルギーの安定供給に欠かせない蓄電池。開発・製造のプレーヤーとして準大手の西松建設が名乗りを上げた。リチウムイオン電池よりも寿命の長い「レドックスフロー電池」と呼ばれる蓄電池の関連スタートアップ、LEシステム(福岡県久留米市)に出資した。ESG(環境・社会・企業統治)の波を受け、建築物にも新たな価値が求められ、ゼネコンも対応を迫られている。

西松建設はスタートアップのLEシステムと、コンテナ型の蓄電池を共同開発している
西松建設はスタートアップのLEシステムと、コンテナ型の蓄電池を共同開発している

 西松建設は今回、LEシステムに2億円を出資する。同社は2011年創業で、重油を燃焼させた際に出る産業廃棄物などからレアメタルの一種、バナジウムを回収し、レドックスフロー電池に使うバナジウム電解液を製造する技術を持つ。21年夏には福島県内で電解液の量産工場を稼働させる計画だ。ただ、あくまで同社の事業は電解液の製造が主体。そこで西松建設と組んで22年ごろの商用化を目指して蓄電池自体を開発するという。

 蓄電池には従来、鉛電池が多く使われてきたが、近年は携帯電話のバッテリーにも使われ、量産効果で価格が下がってきたリチウムイオン電池の存在感が高まっている。他にもナトリウム硫黄(NAS)電池が使われることが増えてきた。

 これらの蓄電池に比べ、レドックスフロー電池が持つ強みは長寿命であること。電極や電解液はほとんど劣化しないため、半永久的に利用可能だ。リチウムイオン電池の寿命は一般的に10年ほどとされるが、レドックスフロー電池は20年以上の耐久性を持っており、電解液は再利用もできる。常温で稼働し、不燃・難燃剤で構成されていることから安全性が高く、屋内への設置に適しているのも特長だ。

 西松建設がレドックスフロー電池を開発する背景には、建築・土木以外の収益源が必要だという課題がある。東日本大震災からの復興需要、そして五輪特需の影響で建設業界は好況だった。ただその好況も天井を打ち、今年に入ってからは新型コロナウイルスの影響で、企業の設備投資意欲が落ち込んでいる。ゼネコン各社は不動産事業や公共施設の運営権を取得する「コンセッション」事業など、新たな収益源を生み出そうと模索を続けている。

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