コインランドリー業界の成長が続いている。厚生労働省の調査によると、1997年度に1万739店だった店舗数は、2013年度には1万6693店まで増えた。その後、厚労省は調査結果を発表していないが、業務用洗濯乾燥機大手のTOSEI(東京・品川)によると、17年時点で約2万店と推計されている。20年で店舗数が2倍になった計算だ。

 9月18日からは東京ビッグサイトで、コインランドリーの開業希望者らを対象にした展示会「国際コインランドリーEXPO 2019」が開催された。同展示会の開催は4回目。機器メーカーや商社など約60社が出展した。

国際コインランドリーEXPOは今年で4回目の開催

 コインランドリーが急成長している理由として、まず需要の増加が挙げられる。以前は単身世帯の男性が主な利用者だったが、共働き世帯の増加によって女性の利用が増えた。週末にコインランドリーで洗濯から乾燥まですることで、家事時間を大幅に節約できるからだ。女性の利用者を意識して、清潔感のある店舗やカフェ併設型の店舗も増えた。

 こうした需要増を背景に、投資対象として人気に火がついたことが店舗数の増加に拍車をかけている。コインランドリーは無人で運営できるため、人件費がほとんどかからない。不動産投資として考えると、マンションなどに比べて初期投資が少なく、比較的早い段階で投資を回収できるメリットがあるとされる。中小企業が新規企業としてコインランドリー経営に乗り出すケースも増えているという。

 だが、安易な参入で店舗数が増加し、業界では「飽和状態では」という声も聞かれる。コインランドリーの開業支援をしているランドリーライフ(長野県松本市)の宮澤理恵総務課長は「平均的なコインランドリーの年間売り上げは500万円程度といわれている。決してもうかる商売ではない」と話す。立地を見極め、低コストで運営できる仕組みを整えたうえで、付加価値をつけていくことが重要だという。

 店舗数が増える中、コインランドリー関連企業は「付加価値」を意識した戦略を取り始めている。機器メーカーのTOSEIは、電子マネー対応の精算機の提供を始めた。以前は洗濯機や乾燥機に小銭を入れるタイプが主流だったが、キャッシュレス化の波に対応する。「今後は、清算機から出すレシートにバーコードも印字して、それを持っていけば近隣のクリーニング店や飲食店などで割引を受けられる仕組みも考えている」(荻野耕次・マーケティング本部担当部長)。地域との関係性を深めることで利用者の増加を狙う。

 さらに、同社はメルカリと連携し、コインランドリーに撮影ブースを設ける。ハンガーラックや梱包資材を用意し、洗濯した衣類をそのままメルカリで出品できるようにする。以前からコインランドリーでメルカリに出品するための衣類を撮影する利用者がおり、そのニーズに応えた形だ。

TOSEIはメルカリと連携し、コインランドリーの撮影スペースを設ける

 荻野氏は「飽和状態」との見方に対して「日本では米国などと比較して、コインランドリーを定期的に利用する人はまだ少ない。利用者が伸びれば、まだ出店余地はある」と強調する。業界では「コインランドリーの商圏は徒歩5~7分程度で、コンビニと同程度」とされている。今後はスマホとの連動など利用者の利便性をさらに高めることができるかが、さらなる成長のカギとなりそうだ。

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