女子大学に経営系の学部を新設する動きが相次いでいる。共立女子大学(東京・千代田)は2020年4月にビジネス学部を設置。武庫川女子大学(兵庫県西宮市)も同年4月に経営学部を設ける。

 「東京の真ん中で、ビジネスを。」

 オフィスの広告ではなく、共立女子大ビジネス学部の学生募集のキャッチフレーズだ。経営や法律、情報・統計といった通常の講義に加え、東京駅から2km弱という立地を生かし、企業の社員を招いて商品開発に取り組むといった実践型授業を設けて「就職率100%を目指す」(共立女子大担当者)という。

共立女子大学は2020年4月にビジネス学部を新設する
共立女子大学は2020年4月にビジネス学部を新設する

 女子大としては最大規模となる約1万人の学生を抱える武庫川女子大は、経営学部の新設に合わせて新校舎を建設する力の入れようだ。学外のビジネスパーソンと交流できるスペースや試作品を作れる3Dプリンター、ドローンなども設置する。将来的には、管理職を目指すビジネスウーマン向けに、社会人が必要なときに学び直すリカレント教育も取り入れる計画だという。

武庫川女子大学は新設する経営学部のために新校舎を建設する
武庫川女子大学は新設する経営学部のために新校舎を建設する

 両校が新学部設置に動いた背景には「一般職」の減少がある。事業会社の事務や、銀行や地方自治体の窓口業務などが女子大の学生の就職の受け皿となってきたが、金融機関などは定型的な事務をAI(人工知能)やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)に任せて、採用を絞っている。いわゆる「総合職」に対応する人材を輩出しなければ、女子大自体の存在意義が問われかねないとの危機感がある。

 学生側の意識の変化も大きい。女子大は良妻賢母となるための一般教養を重視する傾向が強かったが、「中学や高校のキャリア教育により、実務志向が高まった」(日本総合研究所の東秀樹主席研究員)。社会で働くことを見据えた女子学生にとって、あえて女子大を選ぶ理由は薄れている。