ファーストリテイリング傘下のユニクロと、東レは16日、リサイクル材から作った新製品を2020年に発売すると発表した。柳井正会長兼社長は「リサイクルの効率性を高めてコストを下げ、従来製品と同じくらいの価格帯で販売する」と語った。リサイクル製品の開発には東レの技術開発が不可欠だった。

ファーストリテイリング傘下のユニクロと東レは16日、リサイクル材から作った新製品を2020年から発売する発表した。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は英ロンドンで記者会見を開き、「あらゆるビジネスの現場でサステナビリティについて質問され、特に若い人は敏感だ。それに沿った製品を作ることは非常にプラスになる」と語った。
リサイクル材を使った新製品は2つある。1つは、使用済みペットボトルからポリエステル繊維を製造し、高機能製品を作ること。従来は異物混入などから特殊繊維の生産が難しかったが、東レが異物を除去するフィルタリング技術を開発し、課題を克服。使用済みペットボトルから高機能の速乾ウエア「ドライEX」を製造し、2020年春から発売する。スポンサー契約を結ぶテニスのロジャー・フェデラー選手らも着用する見通しだ。
もう1つは、使用済みダウンをリサイクルした製品だ。9月からユニクロの店頭で使用済みダウンを回収し、リサイクル材を一部に使ったダウンを20年秋から発売する。従来はダウンを手作業で解体することが多かったため、効率性を高めるのが難しかった。東レが自動でダウンの切断や分離、回収できる装置を開発し、従来の手作業に比べて50倍の処理能力を実現した。

世界的にリサイクルなど環境対応が重視されており、リサイクル製品を発売するアパレルが増えている。ただ、厚手の生地を使ったジャージーやポロシャツなどが中心で、高機能商品の発売は珍しい。また、リサイクルのために製品コストが高まるという課題もある。柳井会長兼社長は「リサイクルの効率性を高めてコストを下げ、従来製品と同じくらいの価格帯で販売する」と語った。
これはユニクロと東レの協業のたまものである。東レの日覚昭広社長は、「リサイクルなどに対応できるように、以前からリサイクル技術を磨いていた。ただ量が少なくては採算が合わない。ユニクロの店舗網と回収システムがあるから、事業としても成り立つ」と語った。
ただし、今のところ日本限定の取り組みだ。日本は海外に比べて、使用済みペットボトルを洗浄する家庭が多いため、比較的品質の良いペットボトルを多く回収できるという利点がある。海外で日本ほど回収網が整っている地域は少なく、回収システムの構築や異物除去などでコストが発生しそうだ。
そのため、東レは異物混入量が多いペットボトルもリサイクルできる技術を開発している。日本発の取り組みを世界でも展開できれば、ユニクロのブランド価値向上に貢献しそうだ。
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