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 JR東日本は2020年春、東京都小金井市の中央線の高架下に学生向け賃貸住宅を開設する。遊休地活用の一環としてJR東をはじめ鉄道各社も行ってきた高架下の開発。これまで店舗や保育所、オフィスなどはあったものの、賃貸住宅はJR東としては初めてだという。

JR東が開業を予定する高架下の学生向け賃貸住宅(画像:JR東日本提供)

 賃貸住宅は中央線東小金井駅と武蔵小金井駅の間にある東京農工大学小金井キャンパス近くの高架下に建設する。これまでは一部を駐車場として使用していた。109室を設け、食堂やカフェテリアなど共用スペースも備える。部屋は10.44~15.94m2と狭めだが、賃料は5万円台(共益費は別)からと周辺の賃貸マンションと比べると低めに設定する。

 気になるのは、電車が走る高架下にあるがゆえの騒音や振動だ。JR東によると、住宅の天井部分は高架と接しておらず、生活に支障がないよう対策も講じるというが、それでも多少なりとも早朝から深夜まで列車の通過音と付き合うことになる。JR東の広報担当者は「通過音に加え、日当たりの悪さなど難しい面もあるが、賃料や立地も考慮して選んでいただければ」と話す。

 居住環境としてはマイナス要素もある今回の計画。果たして勝算はあるのか。ある不動産関係者は「期間限定で暮らす学生であれば、子育て世帯などに比べて騒音などへの許容度は高い」とし、一定のニーズはあると説明する。ある程度のデメリットがあっても、大学から近いという条件を満たせば物件として成立するとの見方だ。

 加えて、学生向けマンションは、保護者との間で契約を交わせば滞納が発生しにくく、仮に発生したとしても回収が比較的容易という貸し手側のメリットがある。また、退去時期が予測できるため、次の入居募集がかけやすく、空室リスクも低い。そうした事情を背景に、東急不動産や三菱地所など大手デベロッパーによる学生マンションへの参入も相次いでいる。

 ただ、関係者によると、今回のJR東の住宅建設をめぐっては「高架下に居住スペースを設けるのはふさわしくないのではないか」といった慎重意見も出たという。大学からの近さが強みとはいえ、線路直下という特殊性から評価が分かれたとみられる。

 JR東によると、9月11日から募集が始まった今回の物件にはすでに問い合わせも来ているという。一方で、他地域の高架下でも開発の余地はあるものの、住宅建設については「現段階では白紙」(JR東広報)といい、今回の計画を試金石としたい考えだ。東京都心や駅近くの好立地のマンション用地確保が困難になる中、マイナス要素を払拭してビジネスとして成立できれば、今後の遊休地活用にも影響を与えそうだ。

    
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