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 「今回のゲームイベントで5G技術のすごさを体験してほしい」。NTTドコモのコンシューマビジネス推進部デジタルコンテンツサービス担当部長の吉田裕之氏は、自社の展示ブースで次世代通信規格「5G」への期待をこう語った。

「東京ゲームショウ2019」にはNTTドコモやソニー・インタラクティブエンタテインメント、スクウェア・エニックスなど650社以上が参加した

 9月12日、千葉市の幕張メッセで国内最大のゲーム見本市「東京ゲームショウ2019」が開幕した。今回は、ゲーム会社を中心に40の国や地域から655社・団体が出展した。

 今回のゲームショウのテーマの1つが「5G」だ。国内では2020年春に商用サービスが開始される。「高速・大容量」「低遅延」「同時多接続」という利点を持つ5Gの登場は、ゲーム業界の構造を大きく変えるとされる。ドコモは展示ブースで5Gを大々的にアピールしたほか、基調講演では5Gによるゲーム業界へのインパクトが議論された。

 5Gの登場で変わりそうなのが、ゲーム対戦競技のeスポーツなどのイベントだ。ドコモは東京ゲームショウで5Gを活用したeスポーツ大会やAR(拡張現実)観戦などのイベントを開催。20年春の商用化に先立って5G端末を用いたゲームを体験してもらいたい考えだ。

 eスポーツ大会では、コナミデジタルエンタテインメントが開発するオンラインサッカーゲーム「ウイニングイレブン2019」のほか、海外のゲーム会社が開発する2種類の人気バトルロイヤルゲーム「PUBG」「フォートナイト」の大会を開く。ブースに5G対応スマートフォンを設置して、ユーザーに実際に同時対戦してもらうことを想定する。

 AR観戦では、カプコンの格闘ゲーム「ストリートファイター」のプロゲーマー同士の戦いを観戦できる。ユーザーがARマーカーにスマホをかざすと、位置や端末の角度といった情報が5G回線を通じてサーバーに送られる。事前に収録した3Dキャラクターによる試合をスマホ上で観戦できるというサービスだ。

 基調講演ではゲームイベントの活性化に期待する声が多かった。スクウェア・エニックスの佐藤英昭執行役員は、「大人数でシンクロできる遊び方ができる」と指摘。ガンホー・オンライン・エンターテイメントの森下一喜社長は、「eスポーツなどのイベントで(ゲーマーと観客が)もっと一体化できるといい」と語った。

 5Gの登場を見込んで、ゲーム操作などをサーバー上で処理する「クラウドゲーム」への期待も高い。ドコモは今回の東京ゲームショウで、出資するフィンランドのゲーム会社のクラウドゲームサービスを紹介。ドコモの吉田氏は「5Gはeスポーツの対戦環境、観戦環境を大きく変える」と力をこめる。

 もっとも、5Gを活用したゲームを打ち出す企業はまだ多くない。今回の東京ゲームショウでもNTTドコモほぼ1社のみで、ガンホーやサイゲームスといったゲーム会社は発売予定の新作ゲームの紹介がメインだった。商用化へ開発が水面下で進んでいる段階と言えそうだ。

 「5Gだからゲームが面白くなるわけじゃない。ゲームが面白くなるのは自分たちのアイデア次第だ」。基調講演でガンホーの森下社長はこう語った。20年春の商用サービスまで半年強。5Gという技術進化を通じて、いかに新たなユーザー体験を発掘できるか。ゲーム各社の力量が問われることになる。

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