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 米インテルは9月11日、2020年東京五輪に向けた取り組み方針を発表した。AI(人工知能)を使って映像内の選手をリアルタイムで追尾する技術を提供したり、「eスポーツ」の世界大会を開いたりする。17年から国際オリンピック委員会(IOC)の最高位のスポンサーになったインテルには、「CPUの会社」から脱却して「データの会社」という印象を定着させる狙いがある。

都内で開いた記者発表会にはNECやカプコンなどのパートナー企業も登壇した

 「インテルはCPUだけでなく、ソフトウエアやアルゴリズムなど様々な技術を持つ。五輪は我々が広げてきたポートフォリオを紹介できる格好の舞台だ」。米インテルでオリンピック・プログラム・オフィス本部長を務めるリック・エチュバリア・セールス&マーケティング統括本部副社長は11日、IOCの最高位スポンサーとして東京五輪に向けて取り組む意味をこう語った。

 インテルは2019年通期の業績を、売上高は前年比2%減の695億ドル、売上高営業利益率は前年比3ポイント減の32%と見込んでいる。最先端の製造技術の立ち上げが遅れてパソコン向けCPUの供給不足が起こったほか、大手IT企業によるデータセンターへの投資が弱まった影響がある。

 半導体業界の地殻変動もある。スマートフォン向けCPUや画像処理半導体などの分野では、工場を持たない「ファブレス」の半導体メーカーである米クアルコムや米エヌビディアが台頭してきた。米アップルや中国ファーウェイもスマホに使う半導体を独自に設計している。CPUの設計と製造を一貫して手掛けるインテルの勝利の方程式に陰りが見えてきた。

 インテルは事業の多角化に活路を求めた。15年に回路書き換えができる「FPGA」の米アルテラ、16年に深層学習(ディープラーニング)向け半導体の米ナバーナシステムズ、17年に画像認識技術のイスラエル・モービルアイを相次ぎ買収。AIや次世代通信規格「5G」、VR(仮想現実)に代表される没入型体験などの技術開発にも継続的に投資してきた。データセンターやネットワーク、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」などのデータ処理に関係する分野で事業を伸ばす方針だ。

 20年の東京五輪では、映像内の選手の検出や姿勢の推定などをリアルタイムで実行して中継に情報を加える技術を提供する。没入型のライブ観戦システムを体験できる競技の数も18年の平昌五輪に比べて大幅に増やす計画だ。カプコンの「ストリートファイターV」と米Psyonixの「ロケットリーグ」を題材にしたeスポーツの世界大会「インテルワールドオープン」の開催も決めた。賞金総額は2競技合計で50万ドルに上る。

 「東京五輪におけるインテル・インサイドの一端を見せられたのではないか」。11日の発表会でこう語ったインテル日本法人の鈴木国正社長は、東京五輪の開催までに具体的な取り組みを順次発表していくと表明した。

 組織委員会が「五輪史上最もイノベーティブな大会にする」という目標を掲げた東京五輪。その目標達成にインテルが貢献したと認知されたとき、インテルに対する印象は一新されるかもしれない。

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